ミュージカル『笑う男』(2022 梅田芸術劇場) | ラピュタをさがして

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ミュージカル『笑う男』を観劇しましたニコニコ

東京公演は一部中止になり

心配でしたが

幕が上がって良かったおねがい

千秋楽まで完走されますように



以下内容に触れています。




この作品は初めて観ました

原作も未読です


全体的に楽曲が素敵で

フランク・ワイルドホーン作曲ですね

ネバセイに続き

最近ご縁があります

出演者の皆さんの歌声が良くて音符音符音符

悲惨な物語も

壮大だったり楽しかったりする楽曲によって

人の心に入り込ませるんだなぁと感じました


それに、芝居、歌での表現力が高くて

見応えがありました音符



幕開きは正直

『あ…ユゴーだった…うーん…ショック!

失敗したかも…』って思いましたあせる

ユゴーって常にこういう感じだったかな?

うっかり忘れてたあせるあせるあせると…。

広がっていく世界が不安でした

真彩ちゃんの歌声を

ミュージカルで観たい一心だったので…

昔のリアルな?悲惨な世界が

広がっていくのは

小説で充分だな…という私の個人的見解


でも、良いか悪いかは分かりませんが

始まり30分〜1時間くらいで

心配は杞憂だとわかりました

歌えるキャストによる明るい楽曲や

衣装等が作り出す雰囲気などのせいか

ちょっとディズニー的な雰囲気で

リアルな悲惨さは緩和されてました


ただ、二幕に移り終演が近づくと

どうやってまとめるのかな?

何を描きたいのかな?

と感じました

原作を読んでないので

なんとも言えないけれど

作品が表したいことがよくわからなかった



一幕前半のグウィンプレンは

赤ん坊の時に醜悪な闇の世界に

引きずり込まれた被害者

虐待を受け

人としての尊厳も軽んじられる人生

でも、同じ境遇の仲間たちに助けられ

強くたくましく生きる

そして仲間のいる幸せな人生…


一転して

実は貴族出身だったという

ディズニー的な

シンデレラストーリーが展開されるも

もちろん人道的な発言が

当時の貴族たちに理解されるわけもなく

何の変化(収穫)もなく

もとの世界に戻っていく



ディズニー的な展開に

リアル一辺倒でいかないんだと

ホッとしたのですが、

グウィンプレンという人物に

権力とお金に目が眩んだ

自己中心的大人たちのせいで

幼少期に口を裂かれた

驚くべき人間の残虐さの犠牲者という

『特異さ』以外の何かが欲しいなと

感じてしまいました


デアの最後からしても

たぶん、ああ無情がテーマなんでしょうけど


芝居小屋の人々も

衣装や化粧の表現がマイルドなおかげか

悲惨さより

ディズニー的なファンタジーや

おもちゃ箱の世界のような雰囲気で

ゾッとするような景色は

わざわざリアルに舞台で

見たくない私にとっては幸いでしたが

どこか焦点がずれている印象は

拭えませんでした




個別の印象を少し。


グウィンプレン 浦井健治 

歌声が素敵でした音符

少年〜青年の雰囲気が漂うグウィンプレン

デアへの気持ち

ジョシアナ公爵への気持ちが

あんまりはっきりしないのもあり

何を考えてるのかわからない感じで

物語の主軸が見えない感じがしました

たぶん演じ手のせいではないけど


デアとは恋愛関係になってるんですよね

そこもハッキリわからなくて…

ウルシュスが

デアと結婚しろと言ったあたりで

なんとなくそうなのかなーみたいな。


時間軸がはっきりしないのですが

デアをだいぶほっぱらかしなのも

ほんとに愛があるのかわからない点でした



デア 真彩希帆 (Wキャスト 熊谷彩春) 

デアは身体が弱く盲目の少女

歌声はいつも通り透明感ある繊細な声で音符

育ての親や仲間たちにとって

天使のようなデアが納得でしたし、

目の見えない少女の演技が良かったです


ただ出番も控えめなので仕方がないけれど

歌も少なめなのが残念

もっとガッツリ歌のパートが欲しいなぁ



ジョシアナ公爵 大塚千弘 

歌声の表現が素敵でした音符

歌声に、演技に、力強さと自然さがあって

妖艶で退廃的な貴族であり

自分を探して彷徨う様子が印象的でした


グウィンプレンに対しては

何故そんなに執着するのか

ちょっとストーカーのようでしたがあせる

歌声に説得力があるので

納得させられた気になりました



デヴィッド・ディリー・ムーア卿 吉野圭吾 

最低男なのですが

妙に色気のある

悪役、道化になりきらない存在感でした

ジョシアナ公爵と同じ

退廃的貴族でありながら

妾の子というハンデ故に野心を失わない男

物語の中で

人物像が一番はっきりした役柄でした



フェドロ 石川禅 

謎の執事(?)

初登場から怪しい雰囲気だけは

プンプンしていました

途中で主人公寄りの味方?とも思ったけれど 

グウィンプレンがもとの世界へ

去っていくことになっても

物事があっさり展開するので

やっぱりよくわからないままの人物かな


当時は『血筋(血統)』が全て!

失意のまま亡くなったであろう

グウィンプレンの両親の

片腕だったのでしょうね



ウルシュス 山口祐一郎 

始めはなんか変わった歌い方だなぁって

思ったんですが

いろんな歌い方をされる方ですね


全体的には味のある育ての親でした

グウィンプレンとデアを

本当の子として愛し

ふたりが結婚して

幸せに暮らしていくことを願う


言いたいことは

わからないわけではないけど、

それらのエピソードが少しあっさりしていて

掴みにくい気がしました



フィーヴィー 宇月颯 

ヴィーナス 清水彩花 

芝居小屋の一員で

デアの親友のふたり

ふたりとも歌声が良くてびっくりし音符

演技もダンスも素敵でした爆笑


誰だろうと思っていたら

ひとりは宇月さんビックリマーク

エリザガラコンでも素敵でしたけど

とても良かったまじかるクラウン



アン王女 内田智子

すごい歌声にキャラクター!!

と思っていたら

オペラのソプラノ歌手の方でしたピンク音符


とても誇張された人物像で

風刺されたイギリス貴族社会を

わかりやすく表現



ヘビ女 美麗

ヘビ女とすぐわかる

長い首

蒼い衣装が美しく似合っていましたウインク



リトル・グウィンプレン 

ポピエルマレック健太朗

(トリプルキャスト 土屋飛鳥 松浦歩夢)

少年らしい澄んだ歌声音符

可愛らしく

グウィンプレンの痛いけな幼少期を

よく表していて

愛されただろう納得感がありましたね



《他キャスト》

港幸樹 上野哲也 小原和彦 仙名立宗 棚橋麗音 早川一矢 福永悠二 森山大輔 横沢健司

池谷裕子 石田佳名子 島田彩 富田亜希 松浪ゆの 吉田萌美







ミュージカル

『笑う男 

The Eternal Love-永遠の愛-

脚本 ロバート・ヨハンソン 

音楽 フランク・ワイルドホーン 

歌詞 ジャック・マーフィー 

編曲・オーケストレーション ジェイソン・ハウランド 

翻訳・訳詞・演出 上田一豪

音楽スーパーヴァイザー・指揮 塩田明弘 

音楽監督 小澤時史 

歌唱指導 山口正義/堂ノ脇恭子 

振付 新海絵理子/スズキ拓朗 

美術 石原 敬 

照明 笠原俊幸 

音響 山本浩一 

映像奥 秀太郎 

衣裳 前田文子 

ヘアメイク 岡田智江(スタジオAD) 

アクション 渥美 博 

舞台監督 廣田 進 

演出助手 森田香菜子 

指揮 田尻真高 

オーケストラ 東宝ミュージック/ダット・ミュージック 

稽古ピアノ 國井雅美/中條純子/中野裕子 

アシスタント・プロデューサー 清水光砂 

アソシエイト・プロデューサー 塚田淳一 

プロデューサー 服部優希/馬場千晃 

宣伝美術 植田麗子/大江早季 (TOHOマーケティング) 

宣伝写真 森﨑恵美子 

製作 東宝