読みきかせ【小学校6年生】(6月) 『ドームがたり』 | 水脈のブログ

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読みきかせ記録(絵本等の紹介)と、自分の心に生じた想いや、刻まれた記憶を思いつくままに綴っています。
当ブログ開設当初から好きだった東方神起やジェジュン、ユンジェに関して。そして、2021年以降は、防弾少年団(バンタン:BTS)のことに、思いを馳せることも。


本来なら、入梅のころなのに、

この数日は晴天☀️続きで、

気温も30℃超え🥵

熱中症にも要注意 ですね。

そんな今週の「お話タイム」は、

6年生のクラスでした。


9月実施予定の修学旅行(広島)までに

まだ間がありますが、

私が6年生を担当するのは、

ローテーション表を見る限り、

1、2学期中は、今回のみのようでしたので、

この絵本を選書してみました。


『ドームがたり』

アーサー・ビナード 作

スズキ コージ 画

(玉川大学出版部)


表紙絵やタイトルからもわかるように、

この絵本の主人公は、

広島市にある「原爆ドーム」です。

青を基調とした表紙をめくった見返しは、

見開きで、

広島市を上空から見た図が描かれています。

これを見ると、

広島市は、河口の三角州に形成された街

ということがわかりますね。


どうも、はじめまして。

ぼくの名前は「ドーム」。

あいにきてくれて、ありがとう。


「ドーム」は、

今は「原爆ドーム」という名前で

知られていますが、

絵本にも書かれているとおり、

元々は、

チェコの建築家、

ヤン・レツル氏の設計により、

「広島県物産陳列館」

として、

大正4年(1915年)に会館され、

広島県の物産の展示や販売、

美術展覧会や博覧会が

開催されていた建物でした。

※大正10年(1921年)に「広島県立商品陳列所」

昭和8年(1933年)に「広島県産業奨励館」に

名称変更


1945年8月6日の朝

アメリカ軍の飛行機から落とされた

「なにか」によって、

広島の街は、廃墟と化します。


広島さんは、ころされた。

ぼくのむねのクマゼミも

ころされた。


レンガがズレて、石もズレて、かべはこわれた。

頭がとけてスカスカの骨に……

どこもスカスカ……

8月6日からぼくは

なんでもすけて見えるようになった。

とおいものも、ちっちゃいものも。


ちっちゃいつぶつぶまで見えてきた。


「ドーム」くんは、

そのつぶつぶこそが

「原子」であり、

その「原子」で世界はできていると

語っています。

広島市上空で爆発したのも「原子」で、

そのカケラは、

飛び散っていっぱい刺さったけれど、

目に見えないほどあまりに小さくて、

刺さっても、

すぐには「痛み」を感じません。

そして、

広島の街が復興した後も、

人類は、

原爆の実験や原子力発電所で、今も

ウランのカケラを割り続けています。


ウランの原子をわって

じりじりカケラはふえて、

原爆よりもっとふえて、

いつまでのこるのだろう?


裏表紙の

見返し扉に描かれているのは、

核分裂する原子の画のようです。


戦争も原爆も、

とても重い重いテーマなので、

「読みきかせ」のような短時間では、

通常、私は扱いません。

でも、

スズキ コージさん渾身の

迫力ある個性的な絵を紹介したかったのです。

そして、著者の

アーサー・ビナードさんの想い。

あとがき

「ドームの目で世界を見つめると」によると、

アーサーさんは、

アメリカのミシガン州に生まれて、

アメリカの中学でも高校でも、

「原爆は必要だった」

「原爆投下は正しかった」

「原爆のおかげで戦争が早く終わった」

と歴史を教えられてきたと言います。

アーサーさんが、来日し、日本語を学び、

28歳の時、初めて広島に行って、

「原爆ドーム」と出合ってから、

「原子爆弾はいったいなんなのか?」

について、初めて考えるようになった と。


6年生の児童が、初めて

「原爆ドーム」と出合って、

どんなことを感じるのか?考えるのか?

一人一人の体験、感性、考察に

任せるしかないのですが、

この絵本からも

何かを感じとってくれる児童が

一人でもいたらいいなぁ…

と思います。


原爆について、

もっと深く知りたいと思ったのなら、

ぜひこちらの絵本も読んでほしいです

  ↓

『絵で読む 広島の原爆』

文=那須正幹  西村繁男=絵

(福音館書店)