余命宣告をされた母がいよいよ最後というとき「土地家屋調査士試験合格したよ。」と,嘘になるかどうかわかりませんが,つい言ってしまいました。
年賀状をおくった地方在住の塾生から,1月5日に届いたメール。
亡くなったのが先月のことで喪中はがきを出さずすいませんでしたとある。
合格発表まであと三日。
彼にどう返事をしようか。
「きっと合格しているよ。」と言うべきか・・・,土地の座標値をミスしたという彼の合格は正直厳しいと思っているので,その言葉をためらってしまう。
「今年,仮に合格できていなくても,次チャレンジして合格すれば,天国のお母さんが喜んでくれる。嘘になるなんて思うことないよ。」と書くのも,合格発表まであと三日というときに「今年合格できなくても」とは言葉にしたくない。
申し訳ないけど,結果報告を受けてから励ましの返信をしようと思っていた。
本日,午後4時。
私は西国分寺の教室で水曜生クラスの講義。
塾生の合否は気になるが,当然,講義が優先。
4時を20分まわった頃,10分間の休憩。
携帯の着信欄を見ると,彼の携帯番号。
真っ先に電話してきている。
これはと思い,電話するが切れた。
切れると同時に彼から電話。
「合格しました。正直,厳しいかと思っていましたが,母が導いてくれた気がします。」
お母さんの人生がどんなものだったのか知らないが,少なくとも,最後はハッピーエンドであったに違いない。
天国で,周りの人達に言っていることだろう。
人生の最後に息子から素敵なことをしてもらったと,いい人生だったと。
「土地家屋調査士試験に合格したよ。」
息子が母に最後に贈った言葉。
母が息子から最後にもらった言葉。
素敵な親子だ。
合格おめでとう。