今朝は午前8時に起床。
テレビをつければ地震のニュース。青森,岩手,宮城,福島東北四県の太平洋側の都市を中心に地震が引き起こした津波による被害。現実のものであってほしくない。そんな映像ばかりが画面に映っています。地震,津波で被災された方々にお見舞いを申し上げます。
毎週土曜日は午前,午後と横浜での生講義ですが,地震の影響で本日の講義は延期となりました。いつも講義を受けていただいている横浜校受講生の皆様,講義が行われないのは残念ですが,プラス指向で考えて,今日は復習をしっかりとやりましょう。
先週の講義「徹底解析理論編第24回」の復習問題(却下,取下げについて2問)を作りましたので,やってみて下さい。全国で私の講義を受けていただいている皆様にも活用していただければと思います。
第1問 登記申請の却下に関する次のアからオまでの記述のうち,誤っているものは幾つあるか。
ア 登記官は,表示に関する登記の書面申請を却下したときは,偽造された書類その他の不正な登記の申請のために用いられた疑いのある書類を除き,添付書面を申請人に還付する。
イ 登記官は,債権者の代位によってなされた登記の申請を却下したときは,却下決定書を債権者だけでなく,債務者にも交付しなければならない。
ウ 登記官が登記の申請を却下した場合に申請人ごとに交付する却下決定書は,送付の方法によって交付することができる。
エ 共有物分割禁止の定めが登記された所有権の登記のある土地について,その共有者である所有権の登記名義人全員から分筆の登記が申請されたときは,登記官は,当該申請を却下しなければならない。
オ 申請情報と併せて各階平面図が提供されていない建物の構造の変更の登記が申請されたときは,登記官は,必要な添付情報が提供されていないことを理由に,当該申請を却下しなければならない。
1 1個 2 2個 3 3個 4 4個 5 5個
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ア 正 書面申請の却下の場合,還付対象は添付書類のみ。Cf.取下げの場合は,申請書及び添付書類が還付対象。
イ 誤 登記官は,申請を却下するときは,決定書を作成して,これを申請人ごとに交付する(規38Ⅰ本文)。代位申請における申請人は代位者であるから,代位申請を却下した場合の却下決定書は代位者に交付する。
ウ 正 却下決定書の交付は,当該決定書を送付する方法によりすることができる(規38Ⅱ)
エ 誤 民法第256条の共有物分割禁止の定め(共有物不分割特約)は,表示に関する登記の登記事項ではないが,権利に関する登記の登記事項である(59⑥)。当該不動産については,共有状態を解消するような登記をすることはできないが,分筆の登記は共有状態を解消することを目的とする登記ではない。
オ 誤 申請情報と併せて提供しなければならない情報(添付情報)が提供されていない申請は,不動産登記法第25条第9号により却下される。建物の構造の変更の登記の申請において,各階平面図は添付情報とはされていない。したがって,各階平面図が添付情報として提供されていない当該登記の申請は却下されない。
以上から,誤っているものはイエオの3つであり,正解は3。
第2問 登記申請の取下げに関する次のアからオまでの記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
ア 登記官は,表示に関する登記の書面申請がされた場合において,申請の取り下げがされたときは,偽造された書類その他の不正な登記の申請のために用いられた疑いのある書類を除き,申請書及び添付書面を申請人に還付する。
イ 表示に関する登記の申請の取下げは,登記完了後は,することができない。
ウ 表示に関する登記の書面申請の取下げは,申請を取り下げる旨の情報を記載した書面を登記所に提出する方法のほか,口頭による方法によってもすることができる。
エ 登記の申請手続を委任された代理人から,不備のない申請を取り下げる場合において,当該代理人が資格者代理人であるときは,委任者である申請人から取下げのための代理権を授与されることなく,申請手続の代理権に基づいて当該申請を取り下げることができる。
オ 登記官は,登記の申請に不備があり,当該申請を却下しなければならない場合において,当該申請が代理人によってなされたものであっても,相当と認めるときは,事前にその旨を代理人に告げ,その申請の取下げの機会を設けることができる。
1 アイ 2 アオ 3 イエ 4 ウエ 5 ウオ
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ア 正 書面申請の取下げの場合,還付対象は申請書及び添付書類。Cf.却下の場合は,添付書類のみが還付対象。
イ 正 登記の申請の取下げは,登記完了後は,することができない(規39Ⅱ)。
ウ 誤 書面申請の取下げは,申請を取り下げる旨の情報を記載した書面を登記所に提出する方法によってしなければならない(規39Ⅰ②)。
エ 誤 登記の申請の取下げは代理人によってもすることができる。なお,委任による代理人から「申請撤回を理由とする取下げ」をするときは,申請人たる依頼者の登記の利益を放棄する行為であるから,登記申請の代理権の権限を越える行為であり,依頼者から取下げに関する代理権を改めて与えられなければならない。土地家屋調査士等の資格者代理人であっても,同様である。
オ 正 登記官は,登記の申請を却下しなければならない場合であっても,相当と認めるときは,事前にその旨を申請人又は代理人に告げ,その申請の取下げの機会を設けることができる(準31Ⅳ)。
以上から,誤っているものはウエの2つであり,正解は4である。
これから,ひどい余震がないことを願いましょう。