机の上に高く積まれた紙を一枚ずつ指で摘んでざっと目を通し、もう片方の手で菓子を適当に掴み口に放り込む。

モゴモゴと口を動かしながら時折ぶつぶつと呟いては摘んでいた紙を宙に放り投げる。

そんなことをかれこれ1時間は繰り返していただろうか、さすがに少し疲れてきた。

私はすっかり冷めてしまったコーヒーをひとすすりすると、座ったままの姿勢で椅子をくるりと反対方向へ回した。

そこそこに広い室内、そこには私を含めて四人がいる。

一人は床に寝転び髪をいじりながら真っ白なパズルを組み立てている銀髪の少年。

もう一人はソファに足を投げ出した格好で座り、板チョコをかじっている金髪の少年。

もう一人は離れた場所で私たちの様子に目を細めながら静かに立っている白髪の老人。

四人?はて、もう一人いたはずなのだがと私が人差し指を下唇に当てた瞬間、部屋の扉が勢いよく開いた。

「くっそ、もう全然分かんねぇし」

そう大声で叫びながら、赤髪の少年がズカズカと入ってきた。

「探せるとこは全部探したんだぜ?一歩動くたびにボタンも連打してさ、でもアイテムが落ちてるわけでもねぇし、何かに反応するわけでもねぇ、会話にヒントでもあんのかと思って何度も何度も話しかけてんのに"イイオテンキデスネー"ばっかでよ、これ詰んだわ、もう先進めねぇよ」

赤髪の少年は、イライラした様子で金髪の少年の向かいのソファに携帯ゲーム機を乱暴に放り投げ、自身もソファにどっかりと腰を下ろした。

やれやれ、私は半ば呆れながらも彼らの様子を黙って眺め続けた。

白髪の老人も私と同じことを思ったらしく、私と目が合うと肩をすくめてみせる。

「お前、少しはー」

金髪の少年がそう口を開くと

「静かにできないんですか?煩すぎますし乱暴すぎます」

銀髪の少年が被せるように冷たく言い放った。

「おい、今オレが話してんだろ、被せてくんじゃねぇよ」

金髪の少年が、銀髪の少年をぎろりと睨む。

しかし

「偶然同じことを言おうとした、ということでしょう、別にあなたの言葉に被せたわけではないですよ」

銀髪の少年は澄ました顔で金髪の少年へ顔を向けた。

金髪の少年、銀髪の少年は互いに睨み合いそして

「彼が騒いだせいでパズルのピースが一つ行方不明になりました」

と、銀髪の少年が金髪の少年のことなど眼中にないと言った感じで自身の周りをキョロキョロと探し始める。

赤髪の少年は

「はあ?オレのせいかよ」

と口を尖らせ、フンと鼻を鳴らす。

「チッ」

金髪の少年は軽く舌打ちをすると、食べ終えたチョコの包み紙をくしゃくしゃに丸めそのままポイと床に投げ捨て、新しいチョコへと手を伸ばした。

この三人の少年は、いや、正確には銀髪の少年と金髪の少年の二人は私の後を継いでもらうべく教育をしようと思って施設から呼んだ子達である。

時々私の仕事を手伝ってもらってはいるが、二人ともなかなかの腕前でやはり私の目に狂いはなかったと満足している。

赤髪の少年は、頭脳的にはこの二人には多少劣るものの行動力のある子だ。

しかし、候補としては挙げていなかったため声を掛けてはいなかった。

だが、どうやら金髪の少年と仲が良いらしく、彼が施設を出ると知って勝手について来てしまったのだ。

さてどうしたものかと悩んでいたが、金髪の少年は少々気の荒いところもあって感情的になりすぎる部分もあり、その部分をどうするかが課題だったため、この赤髪の少年がストッパーの役目を果たしてくれていると知ってからは金髪の少年と組んで仕事を任せるようにしている。

長いこと一人で仕事をこなしていた私にとって、初めはこの三人と一緒に過ごす時間は騒々しいだけでしかなかった。

だが今は・・・。