落ちた先は沼でした口角の下がった閉じた口、見下すような視線、ツンとすました表情。「不機嫌」そんな言葉がお似合いな彼が扉の前で深々とお辞儀をする瞬間、目尻を僅かに下げ、ニヤリと笑った。何かを企んでいるような、悪い笑顔。再び顔を上げた彼の表情はもう元に戻っていたが、ほんの一瞬、あれくらいのことで私はもう彼から目を離すことができなくなっていた。ああ、この程度で落ちるなんて。