私は椅子から飛び降りると
「髪に引っかかってます」
銀髪の少年の髪に絡んだパズルのピースをつまみ、空いた箇所にパチリとはめ
「床にゴミを投げてはいけません」
金髪の少年の投げ捨てた包み紙を拾い上げてくずかごに入れ
「この石像をこの方向に2マス、この方向に3マス動かすと隠し通路が現れます」
赤髪の少年のゲーム機をカチカチと操作して
「何か甘いものを」
白髪の老人に菓子のお代わりを要求した。
「かしこまりました」
白髪の老人は小さく頭を下げると、ワゴンを押して部屋の外へと出ていった。
私は
「賑やかなのは結構ですが私の邪魔だけはしないで下さいね」
と、溜息まじりで少年達を軽く注意する。
この少年達と共に過ごすようになって、私の溜息の回数はかなりの数になっただろう。
でもどうしてだろうか、今まで一人で過ごしてきた時よりも毎日が楽しくて自然と笑みが溢れる事が多くなったのは。
「平和で何よりですね」
山ほどの菓子を持って戻ってきた白髪の老人が私にそう言った。
「平和?」
毎日のように事件が起きてひっきりなしに私の元に解決依頼が来ているというのに?
私はキョトンとした顔で白髪の老人を見つめた。
「はい、あなたが彼らと過ごしている時間が平和で何よりです」
そう言って、白髪の老人はキラキラとしたゼリー菓子を一つ、私の手のひらに乗せた。
「なるほど、確かに平和です」
私はゼリー菓子を口に放り込んで、ふっと笑みをこぼした。
キラ・・・お前は知らなかっただろう、神のいない世界はこんなにも平和だという事を。