~~~ 2章 全ての始まり B ~~~ フロスガー歴1013年 5月16日~5月 20日
物語に入る前に題名の〝B〟について簡単な説明をしよう。これの意味は、レイロードの綴った物語、つまり彼の書いた本の中の物語だ。現在の彼らの物語にはこの表記は無い。
彼らの物語全ての原点は、彼らの本当の故郷にある。しかし、今となってはその場所は廃墟となっている。それについてはこれからの物語を読んでくれれば分かると思う。
その場所の名は<マダイン・サリ>。アークライド国の都市<レーター・フェイク>を流れるフロスト川の上流にあるオーバーレイクのほとり、広大なライトフォール森に囲まれた街である。ここは、ディミヌ・トレーダーと呼ばれる貿易会社があるだけで、その他一切の外とのつながりを断っていた。この街を訪れるのは物好きな冒険者や、学者、森で道に迷った放浪者ぐらいだ。だが、その人数も年に30人を超えるかどうかというところだ。
そんな人知れぬ場所にあるこの街に、彼らは暮らしていた。
この物語が始まるきっかけを、作ったのは「ライン・ソルドォー」という名の13歳の少年だ。彼は、茶色の長い髪、澄んだ青色の瞳をしていてそれが彼の特徴であり、彼がいじめに遭う原因でもあった。その為、彼は生まれて13年間の間1人も友達が出来なかった。
そんな彼の友達とも言えるような存在は、本だった。彼はほとんどの時間を、勉強、母親の手伝い以外には読書をしていた。さらに彼は週に4回この街1番の図書館に足を運んでいた。
その日も彼はその図書館に足を運んでいた。この図書館は3階構造になっていて、1階が一般的な物語などをたくさん置いてあり、2階は学問系の学者がよく読むような本が置かれていて、3回は書庫になっていた。この日彼は2階にいた。彼は前からここにある本に興味を持っていた。そのため今日は調査という名目で、ここに来ていた。
しかし、彼はここに来た事を後悔し始めていた。階段から一番遠くにある歴史書のエリアで手当たり次第に、本を手にとってはは読んでいる彼にとってここの本の内容はやはり難しかった。今まで本を読んでいて飽きたことなど無い彼でさえ、読んでいても意味の分からない物を読むのには飽きてきた。そして、今手にしている本を元の場所に戻すと、次で最後にしようと心で決めた彼は今度は題名をじっくりと見ながら、読む本を決めることにした。
そうすること15分後、彼の眼はある1冊の本の題名にくぎづけになった。その本の題名は<WGA>作者も何も書かれてなく背表紙にたったのそれだけが、大きくはっきりと金色で縁取られていた。しかし、それとは対照的に表紙自体はかなり古ぼけていて、少しぼろくなっていて、表紙の革の色もくすんでいて元々はどんな色をしていたのかが、解らなくなっていた。
彼は自分でもどうしたことか、その本を手にとって読み始めた。読んでいくうちに彼は不思議に思った。それは、題名だけでもよく分からない本を読んでいても、内容が理解できる、そのせいだった。
実際、その本の内容はたいていの人が理解できそうにない内容ばかりだった。要するに、どこか大事なところが抜けていてさらには説明が不十分だという事だ。
出だしを、ここに記してみよう。
この本を読む者の為にこれを記す。
最初にこの本の題名にもあるWGAについて説明しよう。
WGA通称ワールド・ガーディアン・アーミーと呼ばれるこの組織は、今現在でもほとんどが謎に包まれたままである。その理由として、彼らの暮らす場所もしくは本拠地の所在が一切不明という事、そのメンバーに会ったことのある人物が部外者以外ではほとんどいないから、というこの2つが代表で挙げられるだろう。
この組織は、今現在に存在する国々の記録書の中に最低でも必ず1回はその名が出てくる。しかし、ある期間だけ彼らが活動したかと思えば、また別の期間にははたとその消息を絶ってしまう。それも彼等の謎の内の1つだろう。しかも、そのある期間というのは世界が混乱に陥った時なのである。
そのことから私は、この組織の名前の通りに世界を救うために活動し、世界が平和になると解散するという、意味なのだと思っている。仮に違ったとしても私はこちらを信じていきたい。
さて、つまらない前置きはここまでにして本文に入っていこうではないか。
この後からこの本は、WGAについてをさらに詳しく紹介し、国の記録書をもとにして書いた想像の歴史、彼らの戦術、彼らのもな活動などを紹介している。
ラインは、まだこの本の最初の部分しか読まなかったが、この本を借りていくことにした。
そして、本を借り図書館の外に出たとき彼はふと思った。
「どうして、こんな本を僕が借りる事が出来たんだろう?」
彼がその事を疑問に思う理由はちゃんとあった。それはこの街の図書館にある、ある決まりの中にあった。文学系や子どもにとって内容の難しい本は、子供に貸し出さないこと。
彼が、今借りてきたこの本は明らかにその決まりを破っていた。
しかし、彼はその事についてあまり深くは考えずにおいて、家路へと着いた。
その時の彼はまだ知らなかった。彼がこの本を手にしたときから、すでに彼とその仲間たちの運命は決まってしまったという事を・・・・・。
彼が家に着いたのは図書館を出てからちょうど1時間が経ってからだった。
彼は家に着くと、最初に2階にある自分の部屋へと階段を駆け上って行った。彼はカバンをベッドの上に投げ出すと、やる気はしなかったが仕方なく30分机に向って勉強をし始めた。
これが彼の習慣である。それが終わると彼は、ベッドの上にあるカバンから本を取り出すと、机の上に置いて読み始めた。そして彼は、読んでいる途中に不思議に思う点や、気づいたことを、別のノートにまとめた。そうすれば、この本の謎も少しは解明できるのではないか、と彼は考えたのであった。しかし、彼の考えとは裏腹にそのノートは何も埋まらなかった。それは、彼自身でも解らなかったが簡単に言うと、体のどこかがそれを覚えている、という感じだ。彼には、その感覚が不思議でならなかったが、あまり気にしないことにした。
やっぱり、こちらの都合で今まで通りにやります。そのほうが、楽ですし。