オスティル・Fのブログ

オスティル・Fのブログ

 何気なく、趣味やら何やらいろいろな事を書きつづっていくブログです。つまらないと自分は思いますが、どうぞご自由に見てください。

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 無事に崖下に着くと少年をラインに預けたオーガスは先に走って行った。ラインは、ゆっくりとしかしなるべく早く、逃げながら覚えた道を通ってオーガスの家を目指した。

「なぁ、なんで……お前は俺なんかを…助けるんだ?」途中、少年は息絶え絶えで話しかけてきた。

「あまり話さない方がいいと思うけど。死にかけの仲間を放っておくことなんて僕にはできないな。それに、これはこの間の借りを返すためでもあるんだからね」少年は弱弱しいがどこか力強い笑みを浮かべた。そして、しばらくの間沈黙が流れた。少年は覚悟を決めると、沈黙を破った。

「本当は……誰でもいいから…仲間と呼べる友達が欲しかったんだ」ラインは黙って彼の話を聞くことにした。どこか、自分の境遇と似ていたからだ。

「だから、ある連中たちに仲間に入れてくれと…頼み込んでた。だけど……幾度となく断られた。そんな中で現れたのが…ハーフエルフであるお前だ。お前には悪いが……友達なんていないだろうなんて………勝手な妄想で…お前に近付いた。だが…実際は違った。だから俺は…なんだか…余計にむなしくなったんだ・・……」そこで、言葉を詰まらせたがラインは、背中に何かがこぼれおちる感じがした。しばらくして、それが少年の涙であると分かった。

「お前は……俺に不信感を抱いていた。だけど…それでもお前は今……俺を仲間と呼んでくれた。こんなに嬉しい事なんてない。死ねるなら……今がいいなぁ」今まで口をはさんでいなかったラインがここで彼にこう言った。

「死ぬなんてことは考えちゃだめだ。せっかく仲間になったんだ。だから、これからもいい思い出をたくさん作るためにも君は生きなきゃ。そう、生きる事を考えるんだ」そんな事を言っているうちに2人は黄昏の丘の下に着いた。オーガスの家に続く林道に進む間も少年はまだ涙を流していた。

オーガスの家への分かれ道に着いたとき少年が口を開いた。

「解ったよ。生きる、これからも精いっぱい。だから……親友でいてくれないか?」

「そう思ってくれて嬉しいけど、親友にはまだ早いよ。もっと時間をかけないとね」今まで歩いたことのない道に入ってしばらくすると、後ろの方から2頭の馬のひづめの音がした。ゆっくりと振り返ると誰かがこちらにやって来ていた。前には中年の男性が、後ろにはそれよりももう少し年をとった感じの、髭が長い男性がそれぞれの馬にまたがっていた。

 2頭の馬は2人の前で止まると、前の馬の男性が降りてきた。

「やぁ、君がライン君だね。私はヴァースン・ソロラルド。ピンときたようだがオーガスの父親だ。だが今は時間が無い、今医者を連れてきたところなんだ。その子は私が預かるから君は後から来なさい」そのヴァースンと名乗った男性は背中に担いでいた少年を抱き上げると、馬にまたがり先に疾走して行った。その時、少年がこちらに手を振ってきた気がして、こっちが手を振り返すと彼は笑みを浮かべた気がした。そしてその後をもう1頭が土ぼこりを舞い上げて走って行った。彼は走って2頭について行こうとしたが、疲労の為か体がうまく動かない。仕方なく彼はゆっくりと歩いていくことにした。


 どのくらい歩いたのかは分からないが、思ったよりも歩いたことだけは事実だった。それだけ歩いていると、ようやくオーガスの家が見えてきた。

遠くから見ただけでも不思議に思ったが、見た目は普通の家では無く屋敷に近かった。それに、あちらこちらにツタが張っていて夜中に見たら幽霊屋敷に思えたかもしれないその屋敷にラインは近付いて行った。

目の前の大きな門、とはいっても乗馬した大人が普通に通れる程度の大きさの門の前に来た時、勝手に入って良いものかと悩んでいる時向こうの方にオーガスの姿を見ることができ、おもわず手を振ってみた。すると、向こうもこちらに気がついたのか手を振り返すと手招きしてきた。

その合図があって、やっと中に入る決心のついたラインは門を押してみた。思ったよりも簡単に開いたことに驚きはしたが、そこを通り門を閉めるとオーガスのもとに急いだ。

「俺の家にようこそ。ライン」いつものようにニヤつきながら言う彼の服は、きれいな普段着に変わっていた。いつものベスト姿とは違った薄着の彼はどこか雰囲気が違っていた。それに、顔や体についていた血痕が取れていたことから風呂にでも入ったのかな?と思い、尋ねてみると、水浴びだと答えられた。

「お前も浴びた方がいいって、血まみれだって……ってあれ?あんなに激戦だったのになんでお前の服は汚れてないんだ?」そう言われて初めて自分の服がまったく汚れていないことに気づいたラインは不思議に思い悩んだ。

「うーん………、僕にもよく分からないなぁ。なんでだろう?」

「お前が解らないってどういう事だよ!」オーガスは大笑いをした。つられてラインも頭をかきながら笑みを浮かべたが、この事は母と関係があるのかという疑問が脳裏をよぎった。

「まぁ、とにかく来いよ。水浴びする場所に連れてくから」ラインはオーガスについて行って、屋敷の裏に回った。途中洗濯物のタオルをオーガスは何食わぬ顔でとって行き、驚いた顔をしていた自分に、気にすんなと笑顔で言った。そうして屋敷の奥の森に近い所に、小川が流れていた。ブーツを脱いで、川に入ってみると思ったよりも深く膝ぐらいまで浸かった。

「適当に血を洗い流してこいよ。俺は屋敷に戻ってるから」オーガスはラインを1人にすると、屋敷に戻って行った。そこでラインはホッとした。

「血を洗い流すのはいいけど、やっぱり裸を見られたり耳を見られたりなんかしたら恥ずかしいからなぁ」岸辺で服を脱ぎながら彼は呟いた。そうして裸になってみると驚くことがまだあった。服は全くといっていいほど汚れていなかったはずなのに、その下の肌は血で赤く染まっていた。

「しみ込んだってこと?信じられない…」その事に疑問を抱きながら、水に体が浸かると気持ちよくなった。しかし、川下には体から流れ落ちた血の赤い筋が流れていくのが見えて、気分が少し悪くなった。そこで思いっ切って彼は潜ることにした。水面に顔を出した彼は、髪を洗い始めた。血が残らないようにしつこいぐらいにして洗っていると、前髪から滴り落ちる水が透明になった。そこまでになると彼はようやくタオルを手にとって岸辺にあがり、体をふくと手早く服を着た。その後に今度は頭を入念にふいたが、なかなか乾かずに仕方なく偶然持ってきていたひもで後ろ髪を2つにまとめておくことにした。もちろん耳にはかかるぐらいにして。

 屋敷の正面に戻るのを面倒だと感じたラインは裏口から中に入ることにした。裏口の扉を押しあけたとき、誰かの悲痛な叫び声が聞こえた。思わず目をつむった彼は、足下にあともう1段の階段があったことに気がつかずに、そのまま前のめりに倒れ込んでしまった。

悲鳴が聞こえなくなると同時に目を開けた彼は、自分が倒れているのが食堂であることに気がついた。目の前のテーブル越しにオーガスが目を丸くしてこちらを見ているのが見えると、笑って立ち上がると服の埃をはたいた。

「どうした?今の悲鳴で驚いてずっこけたか?」立ち上がってみて分かった事だが、彼の前にはパンが入ったバスケットが置かれていた。彼はちょうどその中の1つを食べていたところだったようだ。ラインは彼に本当の事を話すと、彼はまた大笑いした。

「笑うなよ!ところでさ、今のって何?誰の悲鳴?」ラインはオーガスの向かいの席に腰かけた。オーガスはあごをかくと天井を指さして説明し始めた。

「えーとだな、今の悲鳴は実は今ので2回目だ。あいつの悲鳴だよ。剣を刺しっぱなしだったからそいつを2人で抜いてた。そしたら、血があふれて来て俺は怖くなってここに降りてきたんだ。部屋を出た時に医者が言ってたんだけど、想像してたよりもひどい傷らしい。麻酔なしで事足りると医者は思いこんでたらしい。だから、今あいつは麻酔なしであの傷を縫い合わせてるとこなんだ」ラインは頭を振って、下を向いた。オーガスは無言でパンを食べた。

「あいつ、助かるよね?」ぼそっと言ってみたが、なんだか少年が死んでしまいそうで怖かった。

「分からない。俺はあいつの意思次第だと思うんだ。だから今はあいつを信じるしかない」その後2人は長い沈黙の中、無言で目の前のパンを食べていた。さっきまでは感じなかったが、パンの匂いをかいだら急に腹が減ったのだった。オーガスいわくもう昼間だそうだ。弁当を忘れたラインにはこれがありがたかった。

 しばらくすると、左手奥の方にある扉が開いて例の医者が入ってきた。医者はこちらを見つけると近くのイスに腰掛けた。

「何があったか深く聞きはしない。わしの仕事は患者の傷を治す事だからの。しかし、あの傷を負ってよくここまで持ちこたえられたと思う。彼の意志の強さには驚かされた。聞いていたよりも酷い傷で麻酔なしで縫合をしたんだが、ほとんど叫びもせずに歯をくいしばって耐えていたからの」

「先生、あいつは元気になりますか?」思わずラインの口からその言葉が出た。

「君らはあの子の友達かね?」その問いに2人は迷ったが首を横に振った。医者は2人の答えを見てうなずくと、ニッコリとした。

「赤の他人なのに必死になって助けようとするのは感心じゃ。安心するといい、あの子はちゃんと良くなるわしが言ってるんだからの。それに、あの子にあれだけの意志の強さがあるのならまず大丈夫じゃ」その言葉にようやく2人の顔に笑みが戻った。

「会いに行ってやるといい、寝ておきなさいと言っても『あいつらに会うまでは寝ない!』の一点張りだったからの」2人は顔を見合わせると、急いで少年のいる部屋に向かった。


3階の南側の部屋に入ると、ヴァースンが少年と話しているところだった。2人が入ってきたことに気がつくと、彼はラインに住所を尋ねられそれを不思議に思いながら答えると彼は部屋を出て行った。

「なんで、あんな事を聞くか不思議に思うだろ?実はあれ、お前の親に会いに行って今日はここに泊めることを話しに行ったんだ。こいつの家に行くのとついでにな」ラインは驚いて彼の顔を見てこう言った。

「こんな昼間なのに、母さんにそんな話をしに行ったの?」

「今日は危ないって父さんが言ってたからな」ラインはため息をついたが、なんだか楽しくなってきた。部屋を見渡すと、必要最低限の家具が置かれていて客室という感じだった。そして、治療は別の部屋でやったのかすでに掃除し終えていたのか血の後は見られなかった。少年のベッドの近くに置かれていた2脚のイスに2人が座ると、少年が話しかけてきた。

「頑張ったよ。ラインと約束したからね。生きて友達になるって」その声はどこか弱弱しかった。ラインは笑ってそうだね、と言ったがオーガスはきょとんとした顔になっていた。

「命を助けてくれたお礼に自己紹介をしないと、僕の名前は<ベスティー・チャールズ>。よろしくね」ラインは素直に自己紹介をした。オーガスは少しためらっていたが、ラインに本当の事を話されそれに納得し、自己紹介をした。

「しかしまぁ、俺達が追いかけてた謎の少年の正体がまさかこの街唯一の貿易商ディミヌ・トレーダーの創設者ディミヌ・チャールズの息子だとはねぇ」ベスティーは何度もうなずいた。オーガスは後ろのテーブルに置かれている2本の剣を指さして尋ねた。

「ところで、どうしてお前はショートソードの2刀流で戦えるんだ?まだ子供の俺達にすれば、重すぎないか?」

「あぁ、よく聞かれるよ。あれは父さんが言ってたんだけど、サン・ロリアルドていう国で作られた物でミスリルっていう珍しい鉱石で出来てるんだって。それで、そのミスリルは悪しき者が近寄れば鈍く輝き、鉄に比べて軽いし頑丈。運が良ければ魔法をかけることも出来るらしいんだ。それで、商売で余ったからって誕生日に2本ももらったんだ」そこで1呼吸置くとあくびをしてから2人にこう言った。

2人と自己紹介も出来たし、もう寝ようかな。あのお医者さんいわく血の流しすぎだってさ」2人がうなずくとベスティーはそのまま目を閉じて眠ってしまった。

「すごい奴と友達になったもんだな」テーブルの上に置かれた剣の内1本を手にとってオーガスは言った。

「でも、これからなんだか楽しくなりそうだよ。2人だけじゃぁ何かさびしい時もあったし」

「おい、それって俺がつまらない奴だっていう意味か?」

「違うよ。絶対に。でも、人数は多い方が楽しいじゃないか」オーガスはまぁなと言うと、剣の物色に戻った。しかし、ラインは考え事をし始めた。

「オーガスと知り合ったあの日に見た夢の中にいた、あの2刀流の青年を僕はベスティーと呼んだ。偶然でないとすれば僕らが知りあうのは必然であり、あの夢の中の出来事は実際に起こるのか?だけど、あそこにはまだ見たことのない人たちがたくさんいた。まだ、そんなことは分からないよね」その時、はっとして着ていた黄緑色の少し長めのベストのポケットからあのナイフを取り出し、刃の根元に刻まれた文字を見た。そうかこれはベスティーのイニシャルだったのか。と納得するとラインはもう1度そのナイフをポケットにしまった。

「そういえば、今日の予定は大体が達成できたんじゃない?」オーガスは手を止めこちらを見ると、うなずいた。

 この3人が出会ったのは運命だったのか、それとも偶然だったのか。それは分からない。だが3人はこの出来事を受け止めて生きていく。WGAという巨大な歯車の動きが、この3人を結びつけたのは確かだ。

こうしてWGAはまだ若き3人の出会いにより大きく動き始める。

そして、この日の出来事は後に起こるある出来事の始まりに過ぎなかったことを、まだこの時の彼らは知らなかった。

~~~ 4章 襲撃の序曲 B ~~~ フロスガー歴1013年 7月 18

 目が覚めたラインは妙な胸騒ぎを感じていた。何かに対しての緊張や恐怖である。しかし、今日はオーガスとあの少年の謎を突き止める約束をしていた。そして彼は約束を守るため、母ローラにはその事を黙って家を飛び出した。

昨日は快晴だったのだが今日は雲がなんとなく多い。しかし、風が強いためすぐに晴れるだろう。

 しかし、ローラはこの後何が起こるのかが分かっていた。

「争いと死の気配……、あの子は大丈夫かしら…」彼女の視線の先には黄昏の丘があった。

しばらくして、ラインは森に入った。だがいつもは感じる動物たちの気配が感じられない。そのうえ、鳥のさえずりや虫の音も聞こえない。風だって冷たく不吉なものを感じさせた。

「やっぱり、今日来るのは間違ってたかもなぁ」と不安げに呟いたが彼は首を横に振り、その考えを振り払うと丘へと向かった。

丘の頂上に着くと、いつものようにオーガスが立っていた。しかし、その表情は不安に満ちていて暗かった。

「お前も感じるか、この重い空気を」そう言う彼の手には、奇妙な形をした剣らしきものが握られていた。ラインはうなずくとおもむろに弓に弦を張った。その直後、オーガスから矢筒を手渡され、それを腰に結び付けた。

「何かが起こる前に、とっととここを離れるぞ」オーガスがそう言った時だった。急に森の中から角笛の音が聞こえたのだった。その音を聞くと心の中に絶望が広がっていくのを感じた。

「これは…・・・、ゴブリンどもの角笛…」オーガスの顔にはもう恐怖しかなかった。しばらく、2人は恐怖という名の足かせで身動きがとれなかった。だが森から出てきた、簡易な鎧に身を包み手に抜き身の剣を手にしたゴブリンの姿を見たラインの叫び声で2人は丘を全力で駆け降りた。駆け降りた瞬間、林道への入り口を6体のゴブリンにふさがれてしまった。

「こっちだ!急げ、逃げるんだ!」そう叫ぶとオーガスは、まだ包囲されていない左手の森の中へと走り出した。ラインは、矢を1本射ると彼の後を追った。そのラインが射た矢は鎧を着たゴブリンの唯一の弱点である首元に深々と突き刺さり、重い体が地面に崩れ落ちた。


森の中をひたすら走り続ける2人、その途中途中ラインは後ろを向くと矢を射続けた。そうして、走っていると目の前に岩壁が現れた。

「登るぞ!上なら少しは戦いやすい!」その一声で2人はその岩壁をよじ登り始めた。もうじき頂上という所にオーガスが来た時、目の前に急に手が差し伸べられてきた。その先を見ると、例の少年がフードを被らずに無言で立っていた。焦げ茶色の髪が風で揺れている、それに奴らの生々しい血のにおいも漂ってきた。無言でその手をつかむと少年はオーガスを引っ張り上げた。後から来たラインにも少年は同じ事をした。

「なんで、助けるんだよ?」オーガスは少年に食って掛かったが、少年は岩壁に群がるゴブリンを見つめていた。

「そんなことより、今は一緒に奴らを撃退することが先だろ」少年はゴブリンから目を離すと言った。彼はあたりを見渡すとニヤリとした。次に彼はラインを指さすと「おい!その弓とか、石ころでも何でも使っていいから、とにかくあいつらをここに登らさせるな!」ラインはキョトンとしていたが、次の少年の怒鳴り声で彼は急いで岩壁の上から、登り始めたゴブリンを弓矢で射落とし始めた。


 それを見ると少年はオーガスの方を向いた。

「お前は、俺と一緒にやって欲しい事がある。とにかくついて来い!」オーガスは渋々彼の後をついていくと、大きな岩が転がる場所に着いた。

「こいつを使って、この岩をあそこまで運ぶぞ!」そう言ってオーガスに投げ渡してきたものは、太い木の棒だった。オーガスは何をすればいいのか全く分からず、じっとその棒を見つめていたが、少年がその木の棒を岩の下に入れて持ち上げようとしているのを見ると、自分が今何をするべきか理解できた。

要するに、てこの原理を用いて岩を岩壁まで運ぼうというのであった。しかし、なかなか思うように進まない。

「頑張れ!俺達がやらなきゃ、あいつは死んじまう!」確かにそうだ、自分たちなしで1人で奮戦しているラインのためにも急がなくては!そう思うと、オーガスはいつも以上に力が湧いた。

 一方ラインはというと、かなりの苦戦を強いられていた。思ったよりもゴブリンの数が多かったのだ。約2週間にわたって作り上げた矢も、ほとんどが底をついてしまい今はその辺の出来るだけ大きな石を、奴らの頭にめがけて落としていくぐらいのことしかできなかった。

しばらくして、もうだめかと思ったその時、後でドスンという鈍い音がした。パッと後ろを振り返ると2人が大きな岩を転がしてきていた。ラインは2人を手伝いに向かった。

「何しに来た!向こうを守れと言っただろ!」

「でも、3人でやったほうが早いよ!」そう言うとラインは2人を手伝い始めた。その姿を無言で少年は見ていた。

 そうしてやっと崖まで運んだ時、敵はもう頂上付近まで来ていた。

「よし!一気に落とすぞ!」少年の号令で3人は思いっきり岩を押した。不安定な状態で置かれた岩は3人の力でも、簡単に動いた。しかし動いた岩は、そのまま崖を下るかと思ったが実際は頂上付近の敵を蹴散らすと、そのまま崖下にいる敵を押しつぶしただけで、あとの敵はひるまずにそのまま登り続けてきた。それよりも、怒り狂っていた。

「まずいって!この状況じゃぁ普通に戦うしかないって!」オーガスはそう叫ぶと剣を崖下に構えた。すると、剣は光り輝き弓になり、崖下の敵を狙い始めた。


「あれがうわさに聞く、ライトウェポンか…」少年の目はオーガスの持つ弓に注がれていたがすぐに、ラインに石で敵をたたき落とせと指示をした。そう指示した少年もその辺の石を使って敵をたたき落とし始めた。

 だが、それでも敵の勢いが衰える事は無くついには10数名の敵が頂上に登りついた。登りつめた敵は、何か誇らしげな声を発すると崖下から歓声が上がった。そして、その敵に3人はいったん退いて態勢を整えると、接近戦用の武器を手にして迎え撃った。

ラインは、例の短剣(懲りずにまた入れてきたのを忘れていたが、この日は助かった)オーガスの武器は、弓から剣に戻っていた。そして少年は、2人も驚いたがショートソードを2本手にしていた。

その後、彼らがどういう風に戦ったのかは3人でさえよく覚えていない。ただ、迫りくる敵に対して無我夢中で戦っていたからだ。その中で覚えているのは、おびただしい数の死体とそれ以上に流れた血そして、その血のにおいだった。

しばらくの間抗戦している中、ついに恐れていた事態が起こった。ある敵を切り倒した少年が後ろを振り向いた瞬間、彼の脇腹に激痛が走った。少年が恐る恐るその場所を見ると敵の剣が深々と突き刺さっていた。少年は歯を食いしばると渾身の力でその剣を刺してきた敵のニヤつき顔を切り裂いた。だが、剣が当たった時の衝撃に耐えられなかったのか、口から血を吐きだすとその場に崩れ落ちた。


しかしその事に、必死に戦う2人は気が付いていなかった。

「こんな状況で……このまま…死ぬことになるのか……まぁ…いいか…な」そう思って目を閉じた少年の耳に、ある聞き覚えのない声がした。

「あんたが死んだら、この世界の未来はどうなるっていうんですか?俺達にはどうにも出来ないこと、あなたにしかできないことなんです!だから、今ここで死ぬなんて言わないで、生きてください!」目を見開いて辺りを見渡してもその声の主は見当たらない。

ただの気のせいか、そう思ってまた目を閉じかけたとき、天から一筋の光が差し込んできた。あの世からの迎えか、と考えたが周りのゴブリン達のおびえた様子に彼はハッとした。

こういう悪の魔物たちは太陽の光を嫌う。そんな話をどこかで聞いた気がしたのを思い出したのだ。

 急に目の前の敵が逃げ出したのを不思議に思った2人は、思わず敵が見上げていた空を見た。さっきまで厚い灰色の雲で覆われていた空、今見ると雲の切れ間から太陽の光が差し込んでいた。

「勝った、勝ったよオーガス!」半ば信じられないような気持でそう叫ぶとラインは笑ってオーガスに抱きついた。が、2人はすぐに大事な事に気がついた。辺りを見渡して血まみれで倒れている少年を見つけると、2人は側に駆け寄った。

「この傷、かなりひどいな。えーとまず、俺が担いで崖を降りる。その後はお前がこいつを担いで俺の家まで来てくれ、俺は……父さんを呼びに行く」落ち着いているかのように見えて、実際彼はかなりパニック状態になっていた。

彼は少年を担ぐとオーガスは崖を下り始めた。それよりも先にラインが下りて少年が落ちて来ないか肝を冷やしながら待っていた。

 


 小説のタイトル決まりました!タイトルに関して何か意見があれば言ってください。

 最近あることにはまりました。


それは、PCでLEGOを作成すること。



あるサイトでダウンロードできるフリーソフトを基に


膨大な量のパーツの中から


自分好みの作品を作れるという優れ物。


だがこのソフト、海外だと作ったものを実際に発注して


製造、配達してもらうことにより、お金はかかるもののPC内の作品を実際に作ることが可能なのですが、


その機能、どうやら日本では機能しない模様(涙)


原因は不明。



興味がある方はぜひググってみてください。

フロスガー歴1028年 6月 11日~6月 12

 ここまで書くと、そろそろ眠くなったのか大きなあくびをするとレイロードはページをそのままにしてベッドに横になった。

そして朝になると、彼は肩掛けの小さなカバンにインク瓶と羽ペン、手帳を入れると本を閉じて部屋を出て行った。

そんな彼の行き先は食堂だった。あいかわらず、彼らの起きるぺースに合わないせいか周りにはほとんど人がいなかった。というよりも、そこまで人数が多い訳でもなかったが…。

何だか暇そうなララスに声をかけると、彼は笑顔を見せて食事を出してきた。一応エルフであるレイロードは、肉少なめ野菜多めの食事を特別に作ってもらっていた。

だが、いくら肉をなくしてくれと主張しても、肉は体を作るのに欠かせない栄養素なんだぞ!というララスの主張の方が強くて、必ず肉が少量ながら入っていた。なので、彼はいつも嫌々ながら食べているのだった。

 今日の朝食も命がけで食べた彼が次に向かったのは、例の3人組探しに談話室だった。だが、いつもいるはずの姿はそこに無かった。その後も3人のいそうな場所を探したものの、結局見つからず今日の所はあきらめることにした。なぜなら、目の前に新たなターゲットが現れたからだった。セーラ・チャールズ。彼女は1人で廊下を歩いていてちょうど曲がり角のある場所にさしかかったところだった。何かの視線を感じた彼女がその方向を見ると、その先にはこちらを目を輝かせながらとはいきすぎだが、そんな感じでいるレイロードがいた。この後どうなるか、彼女には手に取るように想像できた。

そこで彼女は、全力で彼から逃げることにした。

 一方、目の前でセーラが走り出すとレイロードも後を追いかけるように走り出した。こうして、セーラとレイロードの鬼ごっこが始まったのであった。

 そんな妹の事なぞつゆ知らず。ベスティーは、ラインとオーガスと共にレインの部屋にいた。レインの机の上に広げられた地図を4人でじっくりと眺めていた。

「やっぱり、この辺が無難じゃないかな?」とラインが指で示した場所は、少し森の中に行ったところにある空き地でこことあまり離れてはいないところだった。3人は、彼の意見に賛成した。特に地理に詳しいもといこの地図の作製者でもあるレインはこう述べていた。

「たしかに、この辺りだと湖に近いしこの先少し行ったところにある雷山にも近いから、なかなか良い訓練に適した環境だぜ。それに、こことも近いから何かあったらすぐにこっちに連絡が回って来るしな。だが、広さでは少し劣ってるが建築用の木材をその周辺にある木で済ませるんだったら、少しは広くなるがな」とその時、外でドタドタと騒がしい音がしてレインが外を覗いてみると、前記2人の鬼ごっこの様子を垣間見ることができた。

「おい、セーラが大変なことになってたぜ」その言葉にベスティーは問いかけた。彼は見た事をそのまま伝えると、ドアに鍵を掛けた。

「とうとうあいつにも魔の手が差し迫ったか……」口調はため息交じりだが、表情は面白がっていた。

 その後、小会議を終えたラインとベスティーはレイロードには絶対に見つからない自信のある、馬小屋の藁の上に寝そべっていた。しばらく沈黙が流れていたがふとベスティーがラインに話しかけた。

「なぁ、突然だけど昔の事ってはっきりと覚えてたりするか?」ラインは笑った。

「いつも、そういう話は突然だよね。うん、覚えてる。失ってしまったからこそ、忘れないようにしてるんだから」

「だよな。にしても、この運命はいつ定まったのかって時々思うんだ」

「たぶん、僕がある本を見つけたときからだと思うんだけど、もしかしたら僕らが生まれる前のはるか昔からかもしれない」

「でも、そう考えてもあまり関係ないな。今のこの道は俺達自身の手で切り開いてきたんだからな」ラインはうなずいた。それから、2人は思い出話に花を咲かせたが異様な涼しさのせいで感じていた藁の温かさのせいで、2人はウトウトと眠ってしまった。

「あ~あ、結局捕まえられなかったなぁ」と部屋に戻ったレイロードは肩を落として言った。あれから2時間ほど追いかけていたのだが、途中で何かにつまずいてしまったせいで彼女を見失ってしまったのだった。

イスに腰掛けると、カバンの中から今朝つめた物を取り出して手帳を開いた。

「え~と、次はWGAの要となりし3人の出会い、か」机に向って深呼吸をして心を落ち着かせ、頭の中にその時の情景を思い浮かべるとペンを手に取り、新しいページにその世界を文字として描き始めた。


先日の卒業式が終わってから、即刻家に帰宅。勉強漬けになってましたw


その理由は、卒業式の前日のこと


高校に行って、いろんな書類を提出したわけです。


その時に、新しい課題をもらったのですが、その量が・・・・・


前回にも課題はもらったのですが、その時の2倍いや3倍はあるかもしれない。


叫びたい。


そして終わるのであろうかこれ?


とにかく、これから頑張って終わらせたいと思います。



 他のみんなも頑張れ~!

「おい、お前の方は材料揃ったのか?お、まあまあ良いのがそろってんじゃないか。こっちも持って来たぜ」そう言うと、オーガスは袋の中から黒い石を取り出して見せてきた。

「黒曜石だ。近くにこいつがよく取れる場所があったのを思い出してな、そこに行って来たんだ。さて、そろそろ作業でもやろうか」彼はそう言うと作業に取り掛かった。ここまで来たらもう考え事なんて出来そうもないと思ったラインは、とりあえず自分の作業を始めた。


ラインの作業はいたって簡単だが、少々技術のいるものだった。まず、オーガスの示したのと同じ長さに枝を合せ、よけいな部分を取り除き、真っすぐにして次に丸くする。そして最後に、腐らないようにニスやヤニを塗って完成。

あの少年からもらったナイフは、かなり使いこまれていた様子で切れ味には期待していなかったが、実際に使ってみるとその切れ味には驚かされた。力を込めて枝を切ると、紙を切るように切れたせいで危うく自分の脚を切るところだった。

そんな感じで悪戦苦闘する中、ようやく1本出来上がった。しかし、それは丸には程遠くあちこちがデコボコしていたし若干ゆがんでいた。けれども、それをオーガスに見せてみると、彼は渋い顔をしたが優しくこう言った。

「初めてやった割には思ったよりも真っすぐになってるし、本を読んだだけでここまで1人で出来たのには正直俺でも驚いた」その言葉は、少し落ち込んでいたラインの心を元気にした。それとオーガスは、ラインに枝の形を丸くするためのテクニックを教えた。

そうして、2本目、3本目と作る回数が増えるほどラインの腕は上達していった。それにはオーガスも感心していた。そして、その日の最後には素人が作るには十分な本体が完成した。


「失敗した奴は持ち帰って、暖炉の燃料とかにでもするといい。にしてもお前、すげぇな。よくもまぁ1日でこれだけの物を作ったもんだよ」とラインが最後に作った本体を見ながらオーガスは言った。日暮れが近付いてきたの、で今日の作業は終えて2人は帰ろうとしていたところだ。そして2人が荷物をまとめて丘を下ろうとした時、マダイン・サリの中で絶景とうたわれる光景が現れた。ラインは、実際にはじめてみる光景に心を奪われていた。オーガスはそんなラインを見て、ある事を思い出した。

「なぁライン。黄昏の丘に伝わるおまじないって知ってるか?そうか知らないか。なら教えてやる、この光景を同時に見た友人たちは一生の友になるっていうおまじないさ。でも、本当にそうなのかは分からない。なぜなら、そうなった奴もいればそうならなかった奴もいるからだ。実はもう1つあるんだけど、それは時が来たら教えてやる」ラインは、そのもう1つのおまじないが気になったが、あえて彼には聞かなかった。ただ、彼の言ったおまじないが叶ってほしいとしか思っていなかった。

 家に帰ったら母に短剣の事を尋ねようと思っていたが、ふとこう思った。

母さんがこの短剣について何か知っていたなら、この短剣を僕に渡したりはしないだろう。それと同時にラインの心の中でこんな決断も出来た。母親はエルフであると。しかしなぜ母が自分の父に当たる人間と交わったのか、それは大きな謎だった。ことあるごとにローラに父の事を尋ねてみてもいつも、その時が来たらと決まった答えが返ってくるためにラインはもう父の事を知るのはあきらめ、いつかやって来るその時を待つことにした。そのため、この日もラインはローラに何も尋ねなかった。

 だが、自分の正体がばれた事は話した。最初は険しい顔でその事を聞いていたローラだったが、少年の言葉を伝えるとその表情は柔らかくなっていった。

「そんなことを言う子がいるなんて驚いたわ」

「でも、口先だけで実際は違う事をしてるかもしれないよ!」と反論したがローラは少年からもらったナイフを指して言った。

「口先だけで物を言うのなら、そんなに良い物を相手に易々と渡したりはしないわ」確かにとラインは手元のナイフを見た。渡すならもう錆ついて使い物にならない物をよこすのに、彼が渡してきたのはとんでもない切れ味をほこる代物だったからだ。彼は次に少年に会ったら礼を言おうと心に決めた。

 翌日、ラインは宿題をさっさと終わらせてから家を飛び出した。今日は弓を持っていく事を忘れなかったが、今度は例の短剣を置いて来るのを忘れていたことにラインは気がつかなかった。

さすがに弓はカバンには入らなかったので手で持って行ったが、周囲の人々からの視線が少し痛かった。

 いつもと少し遅い時間帯に家を出たせいか、行きの林道で例の少年の姿を見る事は無かったが向こうから姿を見せるだろうと思って、そのまま丘へと向かった。途中の分かれ道にさしかかった時、ラインはオーガスとばったり出会った。

「お、今日は忘れなかったか。これで今日は俺の考えている通りに事が進むな。昨日までにあそこまで出来たのなら、今日は試射ぐらいはできるだろ。その時に、今までの長さでいいのかを判断するんだ」と言うと彼はわきに抱えていた物を指して、的もあったしなとにこやかに言った。それから2人は会話を楽しみながら歩いた。


 丘に着くと2人は昨日と同じ作業を黙々と始めた。作業を続けること1時間後、自分でも納得のいく本体が完成したため、それをオーガスに見せてみた。

「すげえ、お前なんかこういうのに才能あったりするのか?まぁとにかく本体はこれで完成したな。だから、こっちで作ったこの矢じりと家にあった矢羽を、このロープでくくりつけてと。できたぜ、あぁでも試射するためにはあと幾つか作らないとな。ま、頑張ろうぜ」と言ってオーガスは完成した矢をラインに手渡した。受け取った瞬間彼は、試射なんかしなくてもこれで十分だと思えるような妙な満足感と自信を感じた。それを振り払うと彼は完成した矢をじっくりと眺めた。


本体にはニス塗りなどを施していないせいか少々ごつごつした手触りで、オーガスが作った矢じりは思ったよりも平たく尖っていた。日に当てると黒く輝くその矢じりとは対照的なぐらい白い矢羽は、全てが狂いなく同じ形に作られていた。オーガスいわく、何故かは知らないが家の倉庫にたくさんあったらしい。

1回その矢を弓につがえてみたが、どうもうまく狙いが付けられない。そのことをオーガスに尋ねると慌てて矢の尻の方に弦を当てる溝を彫った。

「こいつがなきゃ、素人は撃ちにくいの忘れてた。本には載って無かったしな。いやぁ悪い」改良された矢を改めてつがえてみると、先ほどより狙いがつけ易くなっていた。

 早く矢を飛ばしてみたいという気持ちのせいか、ラインの作業ペースは先ほどにも増して早くそして丁寧になっていた。それを横で見ていたオーガスは目を丸くしていた。

「も、ものすごい集中力。俺には到底無理なくらいだ……、圧倒的としか言えないなこりゃ」そんなラインのペースの速さに、オーガスは慌てて矢じりを作った。これでは、自分が遅れてしまう、と。


 そうして2人は約25本分の矢を作り上げた。日が傾き始めたころにオーガスが、そろそろ試し撃ちとでもいこうじゃないかと声を掛け持ってきた的を手に持つと丘を下ってラインから見て、1番右手の森に近い所に置いた。的の設置が終わると、彼は手招きをしてきた。そこでラインは弓と矢を両手ずつに持つと丘を駆け降りた。

「さて、いよいよだな。一発で的に当てる自信は?」と悪戯っぽく笑うオーガス。

「うーん。たぶんね、僕には、無理だとね、思うけどね、っと!」そう言いながら彼が射た矢は、的に向かって真っすぐに飛んで行きドスッという鈍い音をたてて的に刺さった。

「おいおい!今までやった事ないのにすげぇな!アーチャーの素質でもあるんじゃねぇか?にしても、この距離をよくもまぁ…・・・」今の光景に驚きを隠せないのは彼だけではなかった。的に見事に命中させた本人ですら驚いていた。そこで、もう2本射てみることにした。ドスッ、またドスッっと鈍い音が続いた。彼が射た矢はどんどん中心に近付いてきていた。そして、最後のもう1本。それは、見事にど真ん中に突き刺さっていた。

「遺伝か、それとも素質か。うーん、解らねぇ」と今の光景に悩むオーガスに対し、ラインはまぐれだと主張した。


「そうだよな。今日は風も全くなかったしな。それにもしかしたら少し距離が近かったかもしれないしな」結局、そういう結論を出すとオーガスは的に刺さった矢を抜くと、ラインに投げ渡した。慌てて先端に気をつけながら受け取ったが、よく見ると矢じりが無い。それを、尋ねると「あぁ、1回使った矢じりは2回も使えないんだ。でも、こいつは的に使ったから、ふん!磨きなおせばまた使えるぜ。だから、今日は俺が持って帰る。どうせだったら、お前の矢も預かろうか?」その申し立てをラインは快く受け入れると、彼は手にしていた矢をすべてオーガスに手渡した。その後、2人は後片付けをすると会話を弾ませながら丘を後にした。


 いつもの分かれ道にさしかかると2人は別れを告げてそれぞれの道を歩んだ。しかし、ラインはその先で例の少年に遭遇した。

「よぉ、今日も来てたのか。というよりも、ほとんど毎日来てるよなぁ」なんだか面白がっている口調だった。ラインは無言でうなずくと、彼に話しかけた。

「あの時のナイフありがとう。あれ、ものすごくよく切れてこっちが驚いちゃった。だから、今度何かお礼させてよ」しかし、少年は首を横に振った。

「礼はいいって言ったよな?だから、別に気にすんなって」だが、ラインも譲らない。

「そういうわけにもいかないんだよ」その後、2人はその事について口論になった。結果少年が折れてため息をついた。

「仕方ねぇな。分かったよ、俺が礼をして欲しい時に言うからそれでいいだろ?」ラインは、その結果に少し不満を抱いていたがこれ以上話を伸ばすわけにもいかないので、しぶしぶ承諾した。

「ところでさ、いつも君はここに何しに来てるの?」少年は口ごもったが早口にこう言った。

「時が来たら教えてやる。お前の、友達も一緒にな」ラインはまだ彼に質問をしようとしたが、彼にそれがばれたのかその言葉を言い残すとすぐに走って行ってしまった。

「なんなんだろう。変な奴だなぁ」そう呟くとラインは歩いて家へと向かった。

 少年への礼はすぐにできるようになるが、それはまた別の日の出来事だ。その時、この3人の歯車がかみ合うのだ。