小野君はある宗教団体に所属してました。
彼の部屋に御本尊が飾って有るのです。
私は心理学を独学ですが勉強してましたし、実存主義の本も読んでいます。
ですから、宗教団体に対しては懐疑的でした。
「どういう処がいいの?」
と彼に質問すると
「生まれる前から、親が入会していた」
という答えが返ってきました。吃驚していると
「だから、これを良く理解してから、他の宗教とかを勉強したい」 というのです。
「逆だろう?」 という言葉はなんとか飲み込みました。
親が入会しているから、子供も入会する。
有り得る事ですが、そんな事は考えた事も有りませんでした。
ちょっと話しただけですが、その事に悩んでいる様子が感じられました。
ある日の夜、小野君の部屋を訪ねると顔に大きな痣のある人相の悪い人が座っていました。
彼の所属する宗教団体の人でした。
もの凄く異様な雰囲気がするのです。
あの宗教団体に属する人には、たまにそういう人が居ます。
何人か会った事があります。
傲慢で、人を馬鹿にしたような事を平気で口にしました。
30分くらい一緒にいたけれど、とても耐えられなくて帰りました。
別の日に、小野君の部屋に行くと
「この間は御免ね。酷い事を言うから、注意しておいた」
と言うので
「ダメだった。とてもじゃないが、あんな人とは一緒に居られなかった」
「とにかく、もう二度と会いたくない」
と言うと彼も黙って聞いていましたが、ハッキリと拒絶した私の意見はショックだったと思います。
自分の基盤としている団体の人を、真正面から否定されたのですから。
彼は前記事に書いたように、真面目な人でした。
しかし、色々な事で悩んでいたのです。
そして真面目なだけに、悩みの種を、そのまま放置して置く事はできませんでした。
彼は結局会社を辞めて、新しい事に挑戦する事で解決しようとしたのでした。