父が亡くなった日の朝、自宅の周りでカラスが決起集会を開いているかのようにかあかあ、本当にうるさかった。
カラスって今の今まで、不気味な黒い不吉な鳥だと思っていた。が、その思い込みは最近、覆った。
父はすい臓がんで、わかったときはもう余命いくばくもなかった。打つべき手は、抗がん剤と放射線治療しかなかった。私は、最後の手段ということで、意を決して父を師匠のもとに連れて行った。父は半信半疑だった。どう思われようと、これしかない。師匠に見てもらった。
師匠はすでに電話で私にこう告げていた。「食べられるようにはなる。でも、もうお父さんは死ぬのを決めているよ」。
もう父はどこか心の奥底で、死ぬことを決めていたんだろう。熊野神社の神前で、師匠に父を見てもらった。手当をしていると、父の体から白い煙が出てきた。この煙を見る人は結構、少ないらしい。霊的に開けた証拠らしい。
すい臓がんは2週間くらいで死ぬ人もいるのに、父はそれから半年、生きた。それに師匠のいうように、大好物のすき焼きを食べられるようになった。そしてやがて、やり切った表情で亡くなった。
以来、スサノオのおつかいさんのカラスと話ができるようになった。私が元気がないときは、カラスちゃんが「くわ~くわあ」と優しい声でなぐさめてくれるようになった。なんだか父がそばにいるみたいだ。以来、 私はカラスは父だと思うことにした。だからあまり寂しくないのだ。