私の「死ぬまでにやりたい100のこと」リストのひとつに、「(クラシック)オペラを生で観る」というのがありました。(ビデオなどでは観たことあり)
演劇やライブ演奏、ミュージカル、歌舞伎など舞台芸術といわれるものは、いろいろなジャンルを観たり聴いたりしてきましたが、唯一経験していなかったのがオペラ鑑賞です。クラシックコンサートは散々聴きに行っているのに、オペラ会場に足を運ばなかった一番の理由は、その鑑賞料金の高さ。
日本のオペラ公演でも安くて¥10,000前後。これが海外の有名歌劇場の公演ともなると、¥50,000くらい跳ね上がります。舞台に立つ歌手はもちろん、オーケストラ団員や、衣装・大道具・小道具・照明などの裏方を含めたら、どんなに小さな公演でも数百人が関わるので、普通の演劇とは比べ物にならないのはわかりますが、それでもなかなか躊躇してしまう値段設定ですね。
そんな中、佐渡裕さんが芸術監督を務める兵庫県立芸術文化センター(芸文センター)では、毎年プロデュースオペラが開催されていて、今年はモーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」の公演があると知り、¥13,000〜¥3,000と値段も手ごろなので、観に行くことにしました。
外国人歌手がほとんどの組と、日本人歌手だけの組というダブルキャストで、それぞれ若手の実力派が出演。共にイタリア語での上演(日本語字幕)というので、ここはやはり海外経験の豊富な外国人キャストの上演日を選びました。
6月19日水曜日の14時開演というマチネーのため、昼食を食べてすぐに、西宮北口駅に直結している芸文センター大ホールへ。10日間ほど公演が続くので、プロムナードには作品のノボリがはためいています。
開演30分前のワンショット。席は4階席の一番前だったので、この位置からだとオーケストラピットがよく見えます。ステージの左右には、日本語字幕スクリーンがセットされています。
会場のライトが落ちて、14時の定刻どおり開演しました。ざっと見渡しても、2,000人を収容する大ホールはほぼ満席で、人気の高さが伺えます。
数あるオペラ作品の中でも「ドン・ジョヴァンニ」は、ストーリーも分かりやすくて面白いので、よく上演されていますね。「ドン・ジョヴァンニ」はイタリア語ですが、スペイン語にすると「ドン・ホァン」となり、有名なプレイボーイ(女たらし?)が主人公の物語です。
主な登場人物は8人。放蕩者の貴族ドン・ジョヴァンニと彼の従者、彼の元妻。貴族の女性とその父親、彼女の婚約者。農民の娘と彼女の婚約者、という配役です。
あらすじをざっと紹介すると
ドン・ジョヴァンニは貴族の女性に夜這いをかけているときに、その女性の父親に見つかり、決闘の末に彼を殺してしまいます。ドン・ジョヴァンニを恨むその女性や婚約者、ジョヴァンニに捨てられた元妻たちは、個別に復讐を誓います。
ドン・ジョヴァンニは墓地で喋る石像(殺した父親の幽霊)に出会い、石像を夕食に招待します。石像たちが改心を求めますが、ドン・ジョヴァンニは心を改める様子が全くありません。すると不思議な力で地面が避けて、ドン・ジョヴァンニは地獄に落ちていきます。「これぞ悪人の結末!」と皆が歌い、オペラが終わります。
クスクスと笑わせる場面もあるので、喜劇という人もいますが、序曲は重々しく、最後は主人公が地獄に落ちるというので、なかなか意味深な内容のオペラです。「清く・正しく・美しく」とは真逆の悪魔的な世界を描いていますね。
日本語字幕が時々分かりにくかったり、登場人物が他の人物に入れ代わったりするので、??と思う時もありましたが、シンプルなストーリーなので、あまり気になりませんでした。
出演する歌手たちは、海外の有名劇場に出演しているので、声量・テクニックとも申し分なし。特に女性歌手たちの声量は、4階席で聴いていても圧倒されました。
演出・舞台装置・衣装も、海外での実績が豊富なスタッフなので、本場のオペラと比べても遜色ない感じでした。特に衣装は、この作品が作られた18世紀の重々しい感じではなく、近代的なドレスのデザインになって、そんなところにもオペラを身近に感じてもらう仕掛けがなされていましたね。
休憩を挟んで約3時間半の長丁場でしたが、退屈せずに途中で寝ることもなく(笑)、最後までしっかり楽しめたのは、そんなスタッフの工夫の賜物でしょう。
歌・演技・演奏・踊りなどが組み合わされた「オペラ」は総合芸術と言われますが、初めて生で見聞きして実感できました。それを破格の料金で楽しませてくれた佐渡裕さんと芸文センターのスタッフに感謝です。最初で最後のオペラ鑑賞と思っていましたが、クセになるかも?
追記
カーテンコールでは写真撮影OKだったので、何枚か撮ってみました。最前列に佐渡裕さんと今風の衣装を着た8人の出演者。後列は劇中音楽を奏でた音楽隊と他の出演者たちです。




