懐かしい映画を観て来ました。1960年代のいわゆる「アメリカン・ニューシネマ」の代表作です。
東京テアトル系列で、ポール・ニューマンを特集した集中上映をやっていました。取り上げられた作品は4つ。
「明日に向かって撃て!」
「熱いトタン屋根の猫」
「ハスラー」
「暴力教室」
「ハスラー」とどっちにしようか迷いましたが、やっぱり「明日に.....」の方が魅力的だったので、こちらをチョイス。初めて観たのはもう相当昔のことなので、ストーリーもあらかた忘れていました。
舞台は19世紀末のアメリカ西部。主人公ブッチ・キャシディ(ポール・ニューマン)と相棒のサンダンス・キッド(ロバート・レッドフォード)は、銀行強盗や列車強盗を繰り返しながらも、指名手配を物ともせずに逃亡生活を送っています。
犯罪を繰り返してアメリカに居られなくなった2人は、サンダンスの恋人エッタ(キャサリン・ロス)を伴って、南米のボリビアへ向かい、ここでも銀行強盗を繰り返して、逃避行を続けますが.....。
ジョン・ウェインに代表される西部劇の伝統を引き継ぎつつも、演出やカメラワークは斬新なやり方を取り入れて、まさに新しい映画のあり方を示した記念碑的な作品になっています。
ポール・ニューマンは、ジェイムス・ディーンやマーロン・ブランドと同時期にアクターズ・スタジオで学んだそうですが、この時代の俳優特有の雰囲気を持っていますね。悲惨な状況でも常に前向きで、最後まで軽口を叩き合いながら進む、明るいアウトロー役にはちょうど合っていたかも。
映画を観た女性は、ポール派とロバート派に分かれそうですが、今から見たらロバート派が優勢かもしれません。かたや主演女優のキャサリン・ロスはやや地味目の役どころなので、個人的には「卒業」のエレーン役の印象が強く残っています。
BGMで、「雨に濡れても」(Raindrops Keep Fallin' on May Head)が流れて来た時、そういえばバート・バカラックが音楽を担当してたことを思い出しました。途中で流れるスキャットも、当時としては斬新な手法だったんでしょうね。
ラストシーンは大きな勘違いをしていました。周りを警察や狙撃兵に囲まれて、銃弾を蜂の巣のように浴びると記憶していたのですが、調べたら「俺たちに明日はない」のラストとごっちゃになっていたようです。「明日に.....」はその直前のストップモーションで終わっていましたね。
余談ですが、この当時の邦題のタイトルの付け方がすばらしくて、この映画もそのひとつ。”Butch Cassidy and The Sundance Kid" という主人公の名前だけの原題を、「明日に向かって撃て!」と付けた当時のスタッフのセンスが光ります。