地図読み講習会@大文字山 | 晴走雨読な日々〜Days of Run & Books〜

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晴れた日は山に登り街を走り、 雨の日は好きな音楽を聞きながら本を読む
そんな暮らしがいい!

地図読みは今まで何回も本を読んだり、講座で説明を受けたりしていますが、その時は覚えていてもしばらくすると忘れてしまって一向に身につきません。

 

やはり実際に山の中でやってみないとと思いつつ、一人で地図を片手に山に入るのもなぁと躊躇していたら、ネットで実践講習会を見つけたので参加してきました。

 

 

もう2週間ほど前の3月3日、京都四条にあるランニングショップ”トレイルフェスト”が主催する「フィールド地図読み基礎講習」がありました。

 

講師はオリエンテーリングやシクロクロスの元日本チャンピオンの宮内佐季子さん。OMMやUTMFのスタッフの一員でもあります。

 

集合場所は、京都東山の大文字山の麓にある南禅寺の境内の奥まったところにある最勝院の前。地下鉄の蹴上駅から南禅寺の広い境内の中をウロウロ。途中で同じようなトレランの服装をした女性に声をかけられましたが、それが講師の宮内さんでした。

 

南禅寺の境内に入るのは久しぶりです。大きな三門を見上げながら

 

琵琶湖疎水が流れる水路閣の下をくぐり、最勝院に到着。

 

9:00の集合時間に集まったのは10人。講師の宮内さんの他に、トレイルフェストの田口さんがオブザーバーとして同行してくれます。

 

2人ずつペアを組んで行動するということで、まず渡されたのは地形図を切り取った小さな地図。一枚ずつ微妙に切り取り位置をずらしてあって、同じ地域の地図を持っている人がペアを組むというもの。

 

これが結構難しくて、合ってると思ったペアが全員間違っていて、プチパニック。宮内さんにコツを教えてもらってペアがわかるまで、これはこれで盛り上がり参加メンバーの間の緊張もほぐれたという効果もあり、なかなかよく考えられたスタートでした。

 

地図読み講習というと、普通はまず机上講座があって、地図記号やら等高線の見方やらから始まるのですが、今回は実戦講座ということで、紙での説明はほとんどありません。

 

最初は、プレートコンパスの持ち方の説明から。体の前に水平に持つこと、他の磁石やスマホなど磁気のあるものの近くで使わないこと、など基本のキホンから指導されました。

 

そして渡されたのは15,000分の1に拡大された、こんな地図。通常使う25,000分の1の地図より少し大きいいので、私のように老眼の進んだ人に見やすくて助かります。

(教材の地図の掲載は宮内さんの了解をいただいています)

 

さすが OMM (Original Mountain Marathon) 経験者だけあって、普通の地図読みではないようです。どちらかといえばロゲイニングやオリエンテーリングに近い形で、レースと同じようにチェックポイントを確認しながら実地で体験するやり方のようです。

 

地図の△印が集合場所のスタート地点。ここから数字の順番に地形を確認しながら、◎印のゴールを目指すというものです。

 

10:00過ぎ、早速ペア同士で地図を見ながら、最初のチェックポイントを目指します。曇り空から雨がポツポツ落ちてきたので、レインウエアを羽織り、気温も下がってきたので重ね着をします。

 

まずペアの一人が地図を読み、地図を見ないもう一人を誘導するというやり方です、最初のチェックポイント(CP)はわかりやすいので、みんなそれほど迷うことなく到着しました。何も知らない人を誘導するための地図の先読みを、言葉に出して説明するのが思ったより難しいのを実感。

 

そこからだんだん難易度が増して、参加したメンバーの間でも位置がずれたりします。その都度講師の宮内さんが、なぜそこがCPと思ったのか質問したり、なぜ間違ったのかを丁寧に解説してくれます。

 

所々で、地図とコンパスの方角を合わせる「整置」の仕方や磁北線の解説、尾根と谷の違い、ピークと鞍部の見つけ方、などを実地と見比べながら説明してくれました。

 

そんなこんなでゆっくり進み、CP5の鞍部に着いた時にはもうお昼前。まだスタート地点から2.5kmくらいしか進んでいません。

 

どこかで見たことのある景色と思ったら、京都トレイルの東山コース39番の道標がありました。

 

簡単に昼食を取った後、後半スタート。所々でペアを入れ替えながら、進みます。

 

この辺りも去年の台風の爪痕がまだ残っています。道を塞いでいた沢山の倒木も、保全関係者の方達の作業のおかげで、通れるようにかなり整備されていました。

 

午後は一気に難易度が増して、ペアごとに進行方向が違ったり、CPと思う位置が大きくズレ始めます。

 

ポイントポイントで宮内さんが、大きくズレたペアを追っかけたり、先に行かせたりとフォローしてくれました。

 

地図のちょっとしたカーブと実際の道なりの違い、谷道と尾根道の区別、地図上の道の方角と実際の道とのズレ、歩いた距離感覚や上り下りの高度差の感じ方などなど、間違えるたびになぜ間違ったのか説明され、徐々に参加メンバーの地図読みの精度が上がっていきます。

 

木が生い茂って本来なら谷があるはずの景色が違っていたこと、地図では東向きの道が実際は南の方に向かっていたりすることなど、地図と実地の違いが身を以て体験できました。

 

地図上のゴールに着いたのは14:30過ぎ、地図ではわずかな距離ですが、道迷いしながら進んだので7km以上歩いていました。

 

軽く休憩を取った後、新しい地図を渡され、ここまでとは違うコースでスタート地点に戻ることになりました。

 

前半の実地講習とルートを間違った経験値から、メンバーの道迷いも少なくなり、ルートファインディングの精度が確実に上がっているのが実感できました。

 

雨は降ったり止んだりで安定しませんでしたが、山の中ということもありそれほど濡れずにすみました。

 

 

京都トレイルでもおなじみの日向大神宮を抜けたりして

 

スタート地点の南禅寺に戻ってきたのは17時前。かなり薄暗く、気温も寒いくらいです。

 

最後に質疑応答があり、講習会が終了。この日はほとんど走らず、なんやかやで歩いた距離は11kmを超えていました。

 

頭の中ではわかっていても、実際の地図読みは本当に難しい。今日身を以て体験したこともしばらく経てばに忘れてしまうので、やはり何回も実地の経験を重ねないとダメですね。身近な六甲山系で、自分でナビゲーション練習をやってみるのがいいかもしれません。