あの秋
「いつか、伊勢佐木町に一緒に行こう」
そう、彼女が言った
僕は盛り場の深いところを何にも知らずに生きてきた
知らずに生意気をしゃべり、ヨコハマを語ろうとした
酒と港と夜と恋を夢想し、詩を詠んだ
そんなインチキな姿勢を彼女は苦々しく感じてたのだろう
闇の奥のヨコハマをある程度知っている人間でなければ、こんな誘いはしなかったはずだ
彼女は謎の多いヒトだった
オレは越えねばならない壁を思った
堅気であることの煩わしさ
ものを創る人間にとっての常識という足かせ
安っぽい感傷
そして、旅人であることの一種の卑怯
街を愛するには、ヒトを愛すると同じでなければ嘘になる
恋は、その先の領域にまで踏み込む勇気がなければ、愛には成長しない
その覚悟があるのか
彼女からの誘いは、静かだが、重い
♪あなた馴染みの 港ヨコハマ
人にかくれてあの娘が泣いた
涙が花に なる時に
伊勢佐木あたりに灯がともる
恋のムードの
ドゥドゥビ ドゥビ ドゥビ
ドゥビ ドゥバー
灯がともる ………………

