そろそろ日付けが土曜になる頃
飲み疲れて帰った郵便受けに、夕刊に紛れるように1枚の絵葉書があった
書き殴りの文字に懐かしさが滲んだ
差出人の住所に見覚えのある店の名前があった

♯生きてるか?
 返事は寄越さなくていい 
 顔を見せなくても構わない
 たまにはハマに来い
 海もキレイにした
 街も変わった
 お前はどうなんだ………

赤レンガ倉庫のスナップをわざわざ直に焼き付けてあった

孤独 流浪 挫折 羨望 諦め

そんなネガティブな言葉だけが、
アルコール浸けの脳内を駆けめぐった
染み着いた哀しみは、しっかり封印していたのだが、わずか数行で過去に引き戻されてしまった
セピアな世界が展開しだした

数日間の恋の記憶を残し夜霧に去った、あの航海士は、どこの海にいるだろう?
濱マイクと工藤俊作は今でも探偵やってるだろうか?
石黒ケイは、相変わらず狭っ苦しいライブで唄ってるのか?
ケイの酔いが回ってのステージは、
オトナの妖艶さが溢れ落ちてたからな

訪ねてみるか 来月にでも
そんな考えが一瞬浮かんで、そして慌ててかき消した
そして写真と書きなぐりの文字とを交互に見比べながら、
何度何度も読み返した
夜明け少し前に、ようやく床についた時には、酔いも抜けかけていた
身体の疲れとは逆に、頭の中が妙に冴え渡った
結局睡眠を完全に逃してしまった