めっちゃ気になる映画だ。

内容はというと、冒頭での主人公のセリフーー。
「人は生まれて死ぬまでに幾つかの名前を持つ。これは俺の人生の物語だ」
この一言に集約されている。
主人公は「不祥事で芸能界を干された国民的男性アイドルグループの元メンバーの息子」にして、「父のスキャンダルが元で両親は離婚」し、「母とその再婚相手とともに暮らしていた」ところ、「久しぶりに再会した母と父が交通事故に巻き込まれて母は死亡、父は植物人間状態」になってしまい、「血の繋がりのない母親の再婚相手」とともに仙台の団地で暮らす「いじめられっ子」にして、「感情表現が乏しくすぐ他人に手を上げる凶暴性を秘めている」という壮絶な境遇の少年。
父と母の出会いからここまでの説明を、ほぼセリフ無しの冒頭6分の映像で表現しているのが、
この『無名の人生』は、個人制作だからこその尖った魅力が詰まっている。
本作をきっかけに、鈴木監督はどのように変わっていくのかはわからないが、
今ここには自ら「100人かかっても作れない内容と、1000人観ても予想できない結末を描けたという、度を超えた自尊心があります」
と豪語する初期衝動の塊がある。