●二次元の漫画が持つ空気感を実写にするなんてことは出来るのだろうか。
それに見事に成功しているように思われる。
監督はそれをいかにして作り上げたのか。
●映画化が決まった時に、原作者のヤマシタトモコさんと話をする機会があったんです。
そこでまず「どのようなかたちで終わるのですか?」と質問すると、
「終わりは決めずに描いているので、映画は映画として作って下さい」と。
それで「どうしよう…」と脚本を考え始めた感じでした(笑)。
●どのエピソードもすごく良いし、刺さるセリフや好きな言葉もたくさんあったので、そこの取捨選択がいちばん大変でした。
●言葉を文字で読むのと、言葉が声として聞こえてくるのでは、頭への入り方が違う。
漫画の言葉を日常で違和感なく言えるかたちにしつつ、キャラクターとしても存在させるところが難しかったですね。
原作では言葉が選び抜かれていたので、そこを生かしつつも、現実世界で喋っても違和感がないところを探りました。
●最初にお会いしたときに、結構ラフな格好でフッと現れたんです。
その姿を見た時点で「槙生っぽいなぁ」と思いました。
それから、気になったことなどを伺ったのですが、すごく丁寧に言葉を選びながら真摯に話してくださいました。
その飾ることのない感じも槙生っぽいなぁと。
新垣さんに槙生をやっていただけて本当に良かったですし、すごい安心感がありました。
●映画を作ってるときに思い出したのは、エドワード・ヤン監督です。
あとはスピルバーグも好きです、宇宙人のような異物が、さらっと現れて、いつもの暮らしが突然歪んで物語が進んでいく感じ。
そこがいいなと。
ちょっと壊れている家族の日常に何かが入ってきて、何か新しい発見があるという。
スピルバーグはそんな話が多いですよね。そこも好きなところです。
●監督/脚本/編集:瀬田なつき
1979年生まれ、大阪府出身。横浜国立大学大学院環境情報学府修了後、東京藝術大学大学院映像研究科を修了。2009年、修了制作『彼方からの手紙』が話題になり、『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』(11)で商業長編映画デビュー。主な監督作品に、映画では『PARKS パークス』(17)、『ジオラマボーイ・パノラマガール』(20)、『HOMESTAY』(22)。ドラマでは「セトウツミ」(17/TX)、「声ガール!」(18/ABC)、「カレーの唄。」(20/BS12)、「あのコの夢をみたんです。」(20/TX)、「柚木さんちの四兄弟。」(24/NHK)など