●通りを歩いているとき、声をかけないまでも、すれ違うすべての人に対してかすかな笑みを向ける。コンビニでは、レジの人に対して「おはよう」「早くから大変だね」「今日もがんばって」とお客さんのほうから声をかける。
●会社に行けば、会う人、会う人ににこやかに微笑みかけ、あいさつをする。お互いが、お互いの存在に対して「承認」をいつも投げかけている社会。
●脳科学者たちは、他人から認められたときに、ドーパミンといった快楽物質が脳内で分泌されることを突き止めています。
●そして、おそらく、自分の体験をもとに言わせていただければ、誰かを承認すると、承認している私の脳にも快楽物質が分泌されます。いい感じになるのです。
●承認すれば、向こうもこちらも心の状態が良くなる。承認し合う社会は、きっと幸福度の高い社会でしょう。
●しかし、現実はそうなっていません。なぜでしょうか?
●理由は大きく3つあると思います。
●まず、基本的には、人の意識の大半は自分の存在が承認されているかどうかに向かっています。それに比べれば、周りの人を自分が承認するというところに意識のベクトルが向く頻度は、それほど多くありません。
●2つ目は、他人を承認することが自分に何をもたらすかについて、明確に言語化できていないという点です。
●3つ目の理由は「他人を承認する具体的な方法がイメージできていない」ということです。「承認する」といっても、具体的に何をしたらいいかわかっていないのです。
●では、どうしたらいいのでしょうか。
●基本は「声をかけて、質問して、話を聞く」。この3点セットで承認するのが良いと思います。
●オフィスで誰でもいいから「元気?」など、相手の存在を承認するつもりで声をかけてください。
●続けて、なんでもいいから質問してみましょう。「最近、仕事の調子はどう?」。
●そして、あとは笑みを浮かべながら、基本は黙って相手の話を聞く。
●最初は、大して相手は話してくれないかもしれません。
でも繰り返し声をかけ、質問をして聞く。
●これを職場で一人ずつみんながやったら、きっと組織は変わっていくと思います。