『本人もわからない部分が』、実は興奮や面白いと思う気持ちと強くつながっている。
●本人も「わからない部分」が、実は興奮や面白いと思う気持ちと強くつながっている。
長年スクラップブック制作を続ける中で、大竹は自分の中の興奮が消えかかっていることに気付く。
「他との比較や検証が始まると徐々に自分のやっていることをいろいろな角度から考え始め、そうこうするうちに興奮要素が消去法で徐々に消えていく。(中略)いつの間にか面白がることよりコンセプトを優先し始め、たいていの場合は失速をきたす」。
そんな時、初期のスクラップブックを見直した大竹はコンセプトを優先することよりも、貼りたいという欲に対して真っ直ぐなことが大事であると感じる。
「『本人もわからない部分が』、実は興奮や面白いと思う気持ちと強くつながっている。(中略)本気でやり続けてどこまで『わからない』でいられるのか、そんな単純なことを初期のスクラップブックを三十年ぶりに見て改めて思った。結局、信じられるのは、今日の新しいページから次の『わからない興奮』が生まれることだ」。
古今東西様々なイメージが貼り付けられた大竹のスクラップブックは混沌としている。年々層の厚みを増していき、一冊の重さが17キロにも及ぶものもあるという。
分厚いスクラップブックの中には、理屈やスタイルなど一貫したものしか認めたがらない社会の圧力を跳ね返そうとする熱いエネルギーがほとばしっている。