自己啓発本に書いてある方法は、地道に努力や試行錯誤をして、たどり着いた「方法の1つ」です。
●「本棚が自己啓発本だらけ」「ついつい何冊も買い続けてしまう」
そうした人たちは、なぜ自己啓発本を何冊も買い続けてしまうのでしょうか。
自己啓発本の内容が人生に役に立つ人というのは、本を「師」ではなく「道具」としても使える人だと思います。
自己啓発本が人生の役に立つ人は、本を「道具」として使い、努力や行動をするから、目標に着実に近づいていけるし、目標を達成してしまえば、何冊も似たような本を買って読む必要がないのです。
逆に、読んだだけで「経験した」つもりになってしまう人や、自己啓発本に書かれていることが「万人に効く薬」だと考えている人は、何冊買っても物足りなくて、買い続けてしまうのだと思います。
特に、一度でも「即効性」を感じてしまうと危ういです。例えるなら、読んですぐ「モチベーションが上がる」状態です。新しい知識に触れた瞬間は、誰でも未知の感覚を体験します。そういった意識の変化はエナジードリンクのようなものです。
自己啓発本に書いてある方法というのは、誰かが地道に努力や試行錯誤をして、たどり着いた「方法の1つ」です。本との出合いで人生が変わった人は、その出合いの後で実際に行動して、努力や行動をした人です。
本を1冊読んだだけで直後に人生観が変わって、今までとは別の自分になったり、努力もなしに能力が上がったりするなら、それは魔法です。そういった効果を現実に求めてしまうのは、神頼みに近く、危ういと思うのです。
自己啓発本というだけでついつい買ってしまう人は、少し立ち止まって、「瞬間」ではなく、その本が「継続」して自分に与えた影響を考えてみてください。それを読んで何を感じたか、その後で何をしたか、それがどんな「結果」につながったか。人生のバイブルとなるような本との出合いは、大切な人との出会いにも似て、すばらしいものです。
名前も覚えていないような知り合いが100人いるのと、本当に心を開ける親友が1人いるのと、どちらが人生にとって有意義でしょうか? 冷静に考えてみてください。
漫画家・イラストレーター・ゲームグラフィックデザイナー
人間関係の悩みを描いたマンガ「パフェねこシリーズ」がTwitterで累計50万以上リツイートされ話題となる。著書に『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』(サンクチュアリ出版)のほか、『にゃんしゃりで心のお片づけ。』(PHP研究所)、『マンガ版 ちょっとだけ・こっそり・素早く「言い返す」技術』(マンガ担当/三笠書房)、『言いにくいことはっきり言うにゃん』(笠間書院)、『まねきねこのうた』(秋田書店)、『続 多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』(サンクチュアリ出版)などがある。