
●「ロストフの肉屋」と恐れられ、70年代後半から50人以上の女性や少年少女を殺害、「チャイルド44 森に消えた子供たち」の題名で映像化もされた実在の連続殺人犯アンドレイ・チカチーロをモデルに、二重三重のツイストが仕掛けられたトリッキーな作品。
●138分の物語は全7章から成り立ち、死を覚悟するまでに、人間に訪れる感情を表した「否認」「怒り」「取引」「抑うつ」などの見出しが割り振られている。また直接的な描写は作中に登場しないが、チョルノービリ原発事故からソ連崩壊までの激動の時代を自由に行き来する構成を含め、曲がりくねったタイムラインの上で残虐な事件がどのように展開するか、観客はかなり翻弄され、映画的な偏差値を試されているような気になる。