決して自分を責めるのではなく、ただ自分が完全な人間ではないこと、あるいは苦しみの原因が他者ではなく、自分の弱さにあることを静かに受け入れる。
それができれば、きっと心が穏やかになり、苦しみも和らぐでしょう。
不完全なありのままの自分を受け入れる勇気
自分の嫌いなところも弱いところも、愛すべき自分自身
苦しみを抱えたとき、自分や他者をいたずらに責めるのではなく、頑張ったけれど失敗してしまった自分、本当は完全ではない自分、弱さを抱えている自分を、まずは認めてあげる。
それは、自分を支えてくれる存在に気づく第一歩であり、ありのままの自分の姿で生きられるようになるための第一歩であり、どんなときでも穏やかにしなやかに、前を向いて生きられるようになるための第一歩であると、私は思います。
ただ、多くの人にとって、弱く不完全な自分を認め、受け入れるのは、勇気がいることです。
特に弱いとき、苦しみを抱えているときほど、人はなかなか自分の弱さを受け入れることができません。
それによって自分の価値を自分で信じられなくなり、「自分は社会の役に立たない人間だ」という思いに苛まれることを、心のどこかで恐れているからです。
今の社会では、至るところで競争が行われ、「競争に勝つこと」「強いこと」「富や名誉、お金など、たくさんのものを所有すること」を幸せだと思っている人は少なくありません。
あるいは、「社会のために働き、社会の役に立ってこそ、生きる意味、存在する意味がある」と思っている人もたくさんいるでしょう。
そんな社会の中で、人が自分の弱さを認めること、弱さを得た人が自己肯定感を保つことは、非常に困難です。
でも、先ほど述べたような恐れは、本当は必要ありません。
不完全でも、たとえ何もできなくても、人は存在しているだけで十分に価値があり、生きている意味があるのです。
『自分を否定しない習慣』(小澤竹俊/アスコム)から一部抜粋・編集しました。