「死霊魂」体験記 | 好きなことだけで生きられる

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映画「死霊魂」を観ました、
2018年の作品です。

ついに、観てきました。
上映時間8時間26分。

全3部構成で、1部の後、20分の休憩があり、 2部の後、15分の休憩がありました。

 3部が終わって劇場を出ると、外はもう、真っ暗になっていました。

終わってみると、ながいようで短かったようにも思いました。

『死霊魂』(公開中)は、毛沢東が率いた中華人民共和国を題材にしたドキュメンタリー。ワン・ビン監督が、文化大革命前の中国史の闇といわれる「反右派闘争」に迫った、8時間を超える大作だ。反乱分子、反革命分子と見なされた人たちが大量に収容所に送られる中、大飢饉にも襲われる。人が極限状態に陥るとどうなってしまうのか、衝撃のエピソードが生き残った人々によって明かされていく。

Web記事より




その映像は、ほとんどが生き残った人たち一人ひとりにカメラを向けたインタビューで構成されていました。

第1部で、8名の方が語り。
第2部で、5名の方が。
第3部で、6名の方がその状況を克明に語ってくれました。

最後は、明水収容所跡地に、今もむき出しであちこちに散らばる人骨をカメラが静かに追っていきます。

証言者のほとんどの方がインタビューの後に亡くなられていました。

まさに、その時、生存者の証言をカメラに収めなければ、永久に失われてしまった貴重な記録がおさめられていました。

8時間26分の上映時間を短くするつもりはなかったと語る監督の想いがまさに生存者と一緒に収容所での体験を追体験するために必要な時間だったのではないかと思いました。

生存者の語りを聞く中で、彼らが私たちと同じ血の通っている人間であり、亡くなった方々ひとり一人もまた同じ人間であったことを知らされました。

歴史の負の遺産とも言うべき、中国共産党による、再教育と言う名で行われた収容所での過酷で悲惨な状況で亡くなった4500万人の方々を忘れてはならないのだと思いました。

王兵は『鉄西区』によって「中古のヴィデオカメラ一台で世界と対峙できることを証明した」と評されたが、「死霊魂」では、ヴィデオカメラの映像で巨大国家における社会的暴力の記憶を大長編小説のように書いたといえる。「死霊魂」は反右派闘争が吹き荒れた時代に、民衆がどのような右派のレッテルを貼られ、再教育収容所へ送られて、死んでいったのか、社会的現実の総体を表現しようともくろむ。ドキュメンタリー映画にとどまらず、デジタル時代の映画全体にとって「死霊魂」がもつ爆発的なインパクトはそこにある。

金子遊 「光の叙事詩」
映画「死霊魂」パンフレットより

ただただ、亡くなられた方々のご冥福をお祈りするばかりです。