この本の目的は、
1、(文章の終わりまで読もうかな)と思ってもらう。
2、(この人いいな)と思ってもらう。
3、(広めたい)と思ってもらう。
そんな文章を書けるようになることです。
P8より
私がなによりも書き手に必要だと信じているのは、シンプルに「どうすれば読み手に楽しんでもらえるか?」という視点です。
人気の作家さんをはじめ、アイドルからインフルエンサーの文章にいたるまで、おそらく誰よりも「読んでて楽しい文章の法則」を研究してきました。
一つひとつがんばって法則として言語化してきたんです。
それをまとめたのがこの本です。
P11より
以降、4つの段落(つかみ、文体、組み立て、言葉選び)に分かれて、49名による49個の文章がテキストとして載せられています。
村上春樹や司馬遼太郎。林真理子に宮藤官九郎。
それぞれの文章をテキストとして、その文章の中に隠れている魅力を引き出し、それを誰もが使える法則としてまとめています。
宮藤官九郎のあまちゃんをテキストにしたものは、「盛りまくる。言葉の意味はよくわからないけど、とにかくすごい勢いだ」として、宮藤官九郎の激化力と名付けています。
もう走り出した恋の汽車は止まりゃしねえです!もう盛りのついた、猫背のメスの猿なんです。どうしたらいいべ!
あまちゃん第113回「おらのハート、再点火」より
クドカンこと宮藤官九郎さんは、アキちゃんの暴走状態をあらわすために、様々な語を暴走機関車の荷台にてんこ盛りにするのです。
P264
よくまあ、49:人の文章からそれぞれの文章の持つ法則を引き出したものであると感心します。
それもこれも文章が好きな著者だからできることなのかもしれません。
著者自体が、こう書いていました。
一番ワクワクするのは、「新しい文体」に出会えたときです。
文体ウォッチングは、子どもの頃からの私の大切な趣味なのです。
P298より
と。
文章を書く人にはもちろんですが、書かない人にも49人の文章の今まで気がつかなかった新たな切り口に出会えるチャンスでもあると思います。
シンプルな線で女性を描く白根ゆたんぽさんのイラストある表紙も魅力的です。
思わず手に取りたくなる装丁だと思います。