「過労死ライン」の960時間が上限とは…。「医師の働き方改革」の実態。まさに「地獄」です‼️。 | ノムサンの気まぐれ日記

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(写真は、Webより「使用可」の表示のあるものの中から借用しました。)

 

 建設職人、プロドライバー、そして勤務医に猶予されていた時間外規制が期限切れとなり、いよいよ4月1日から「時間外労働の上限規制」が始まります。いわゆる「2024年問題」などといわれているものです。


 上記「3業種」以外の業種は、すでに5年前から、原則「月45時間、年360時間」の上限規制が罰則付きで実施されています。


 3業種が猶予されてきた理由はいろいろ考えられますが、もっとも大きな理由は、いきなり実施すると「国民生活に混乱」を招く恐れがあるから、というものです。そのため準備期間が必要だったわけです。


 しかし、規制されたとはいえ他の業種に比べて3業種の上限は大幅に緩いものです。とくに勤務医は「年間960時間」。月に直すと「80時間」。「過労死」を判断するときの基準値です。


 「年間960時間」の時間外労働とはどんな働き方になるのかを試算してみました。


 「所定労働時間」を1週間に40時間とすると、1年間の総労働時間は2080時間。ここに960時間を加えると、年間の総労働時間は3,040時間になります。1ヵ月あたりは「253時間」。1勤務日あたりの平均労働時間は「12時間」を超えます。


 実に「4時間の残業」を毎日続けることになります。これで「働き方改革」といえるでしょうか…。更に、次に述べる「宿直」が別枠で上乗せされるのです。こうなったらまさに「地獄」です( ´△`)。


 さて、医療サービスは「24時間」対応することが必須です。そのため「当直」と呼ばれる「夜間勤務」も必要になってきます。夜間勤務は当然のことながら「労働時間」にカウントされます。


 ところが、ここに来て「宿直」がにわかに脚光を浴びているのです。宿直は、予め「労働基準監督署長」の許可を得て勤務時間を「労働時間から除外」する制度です。夜警や緊急連絡などが主な目的で「本来の業務」は行えません。


 ひところは多くの企業で取り入れていました。私は農協勤務時代に経験しました。


 いつしか宿直を狙った強盗などの犯罪が多発するようになり、宿直業務は「警備会社」に委託されるようになって徐々に廃止されていきました。いまでは、ガスや電力などのインフラを扱う特別な企業を除いて言葉さえ聞くことはありません。


 確認しておきますが、宿直では「本来の業務」はできません。医師の本来の業務は「診療」です。宿直勤務の医師が、急患の診療を行うと本来の「宿直勤務」の目的からはずれることになります。


 労働局は「巡回」や「応急処置」は「宿直の範囲」として認めているようですが、「応急処置」か「診療行為」かの「線引き」は極めて難しいのではないでしょうか…。


 「働き方改革」が「超過労働時間」を「公認」する制度になってしまったら本末転倒です。


 若い勤務医の「自死」のニュースがあとを絶ちません。本人も親御さんも「社会正義」に燃えて選んだ「医師の道」。「過労死(自殺)」などという呼ばれ方で散らすのは、悔やんでも悔やんでも、悔やみ切れない悲劇です。


 医師が「過労死(自死)」するような国が「先進国」「文化国家」だなんて、とてもおこがましくて胸を張れません(( ´△`))。