病室を出てエレベーターまでの通路を二人で歩いていると二宮が立ち止った。
「まーくん。」
先に歩いていた相葉が振り返る。
「何?」
「本当に良かったの?」
「何が?」
「だって、大野さんも怪我したし...」
「うん。分かってるよ...」
「だったら!」
「だったら?どうする?カズくんならどうしたい?」
「えっ?どうしたいって...そりゃやっぱり...許せないって言うか。だっておかしいじゃん!あんな目に合わせて。まーくんをあんな目に合わせてさっ!」
「カズくんはどうだったの?一緒にいたでしょ?二人で何話したの?」
「えっと...どうしてまーくんをあんな目合わせたかとか。美紀ちゃんの事とか。」
「で?それで?どうだったの?怖かった?怖くなかった?犯人だよ?普通に考えたら犯人と一緒にいるって怖いよね?でもカズくんは大丈夫だったんでしょ?」
「そうだけど...。」
二宮はナイフを向けられた事は黙っていた。
「じゃあ、もういいよ。帰ろ?みんな待ってるから。」
相葉は二宮の手をそっと取った。
「ほら、行くよ。」そう言って二宮の手を引いて歩き出した。
相葉は本当は許せない気持ちはいっぱいあった。
けれどもうこれ以上みんなを巻き込みたくなかった。
悲しい思いはしたくない。
高橋の気持ちもちょっとだけ分かる気がした。
相葉と二宮はそのままエレベーターに乗り上の階まで行った。
一度エレベーターを降りてまた違うエレベーターに乗ってさらに上へと行った。
「ねぇ、まーくん。」
「何?」
二宮は本当は無理してるんじゃないか?と言いたかったがやめた。
「...みんなまだいるの?」
「うん。たぶんいるよ。」
「そっか。」
「うん。やっと5人揃うね。」
「うん...」
二人が病室へ戻ると三人が待っていた。
櫻井がソファーから立ち上がって相葉の元へと駆け寄った。
「大丈夫?体は?痛くない?」
「大丈夫。」相葉はニコッと笑った。
大野と松本も駆け寄って来て相葉が大丈夫なのか心配した。
そして二宮を見るなり大野は抱きついた。
「カズ...」
「ちょっと、大野さん?痛いよ。」
「おまえ大丈夫だったのか?なんかされてない?」
「ふふふ、大丈夫だよ。とりあえず離れてくれます?」
「もう、冷たいな...」
大野はゆっくり離れた。
久しぶりに5人揃ってみんなにも久しぶりに笑顔が戻った。
そして、次の日の朝になり病室のベッドには相葉の姿はなかった。
続く