38
あけみは潤にレストランで軽く夕食を取りながら階段から落ちた経緯を話した。
「本当に大丈夫なの?怪我は?」
「うん。本当に大丈夫。ちゃんと看てもらってたもの。タケルくんの方が怪我してたし。」
「その、タケルって子は?」
「病院で手当てしてもらってるはず。私は事情を話して先に出てきたの。潤くんに会いに。」
「そっか。それなら良かった。で、その彼女はあの男が好きだったって事?」
「たぶんね。そうかも。妹って言うのも違うみたいだし。」
「そっか。」
「うん。」
しばらく沈黙が続いたあと潤が食事の手を止めてあけみを見つめた。
「ねぇ、あけみ?」
「何?」
「これからもずっと一緒にいてくれる?」
「それ、さっき言ったよ?」あけみは潤があんまり見つめてくるのでちょっと照れてそう言ってしまった。
「あは、ごめん。でも本当に。ずっとさ。これからもずっと。やっぱりあけみがいないとダメなんだ。だからこれから先もずっと一緒にいて欲しい。」
あけみは食事をする手を止めて潤を見た。
その目からは涙が溢れていた。
「・・・当たり前だよ。ずっと一緒にいる。ずっと。私だって潤がいないと・・・」
「あけみ。泣かないで。」そう言いながら潤は向かい側に座るあけみの頬に手を伸ばして涙を拭った。
「泣くよ、だって。こんな時に。そんな言葉。」
「ごめん。もっとロマンチックな時に言った方が良かった?」
「ううん。」あけみは首を横に振って少し笑った。
二人はそのあと食事を済ませると店を出た。
潤はあけみに手を差し出して「帰ろっか。二人の
家に。」そう言ってあけみの手をギュッと握った。
二人で並んで歩くのは本当に久しぶりな気がした。
夏の空気が二人を包む。
夜空には綺麗な星空が広がっていた。