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あの時二人が言ってたことは何だったのかな?
帰りがけにともこが「そのうち分かるから。」そう言ってニコッと笑っていた。
なんだろ?
何となく気になって二人で夕飯を食べている時に私は思い切って聞いてみることにした。
「ねぇ、この前二宮くんとともこが来たでしょ?」
「うん。楽しかったね。また4人で飲もうってニノからもメールが来てたよ。」
「本当に楽しかったもんね。」
「あの二人お似合いだよな。」
「うん。本当に。でね、ともこがさ。」
「何?」
私はそこまで言うとどうやって聞いたらいいのか分からなくなって聞くのをやめた。
「なんだっけ?忘れちゃった(笑)」
「なんだよ?(笑)」
「ごめん。また思い出したら言うから。」
「そっか。」
「うん。」
次の日―――
職場に行くと何やら騒がしかった。
先に職場に来ていたともこが見えたので隣に駆け寄った。
ともことは同じ本屋で働いていた。
「どうしたの?」
「あ、あけみ。」
「なんかあったの?」
「見て。今日から新しいバイトの子。」
「へぇー。」
見ると事務所の奥で50代半ばのスラッとしたダンディな男と若い男の子が話していた。
ダンディな男性は店長の渡辺だった。
その店長から若い男の子は仕事の説明を受けているようだった。
「イケメンだってみんな騒いでるの(笑)」
「あー。確かに。カッコイイね。」
私がともこにボソッと言ったのが聞こえたのか彼がこちらを見てニコッと微笑んだ。
私はちょっとドキッとしてしまった。
仕事が始まる時間になると店長から「今日からバイトで入るタケルくん。いろいろ分からないこともあるだろうからよろしくね。」と言葉があった。
「よろしくお願いします!」
タケルは一礼するとみんなを見て少し微笑んだ。
確かに爽やかなイケメンだった。
仕事を始める上であけみとタケルは一緒になることが多かった。
「あけみさん、どうすればいいですか?」
「ん?あ、これはねここに戻しておけばいいよ。」
「はい。ありがとうございます。」
「タケルくん、もう少し力抜いたら?」
「えっ?」
「まだ、緊張してる?(笑)」
「あ、すいません。なんか変ですか?」
「ううん。大丈夫。でも力入りすぎて挨拶が硬いよ(笑)」
「すいません。」
「いいよ。少しずつ慣れるだろうし。」
それから何日もタケルくんとは一緒になった。
徐々に慣れてきたのかタケルくんはテキパキと仕事をこなすようになった。
私はと言うと相変わらず潤との生活は淡々としていた。
だからと言って潤と上手くいっていないわけではないし、幸せだった。