3
潤は、玄関から出ると外で待っているあかりの元へと急いだ。
「潤くん遅い。」
「ごめん。」
「寒かったんだから。」
潤は、あかりの手を取って自分のポケットへと入れた。
あかりの方を見ると目が合った。
ニコッと笑うと潤は歩き出した。
「駅まで送るよ、仕事でしょ?」
「うん。」
二人は駅までの道をゆっくりと歩いた。
「ねぇ、あかり。」
「何?潤。」
「もう、翔さんち行くなよ。」
潤はあかりを見る事なく真っ直ぐに前を見ていた。
だけど、手だけはしっかり握っていた。
「・・・」
「鍵も…」
「鍵?」
「合鍵…あるんでしょ?」
「うん…」
あかりは潤が何を言おうとしているのか分かっていた。
「でもね、大学からの仲間はみんな持ってるの。いろいろ集まるのに翔くんち…使ってたから。」
あかりは下を向いたままそう言った。
「そっか…」
潤はそれ以上言わなかった。またケンカになるのが嫌で、黙ったまま歩いた。
「潤、痛いっ!」
「あっ、ごめん。」
潤はあかりを離したくない、そんな気持ちで彼女の手をぎゅっと強く握っていたようだった。
駅まで着くと、あかりと別れ潤は自分のマンションへと向かった。
続く