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ソファーに横になり天井を見つめているうちにいつの間にか眠ってしまったようだ。
チャイムの音で目が覚めた。
急いで、モニターを覗くと潤くんだった。
俺は、マンションの入り口を開けた。
ドアのインターホンが鳴る。
「どうぞ、入って。」
「来てるよね?」
潤くんは、彼女がここに来る事を知っていた。
ケンカすると必ずと言っていいほどうちへ来るからだ。
「ベット占領されてますけど。」
「ごめん。またケンカしちゃって。」
「ヤキモチばっかり妬くからだよ。」
「だってさ…あいつ、いっつも男とばっかり喋ってさ、俺が隣にいてもほったらかし…。」
「まぁ、まぁ。誰にでも分け隔てなく…あいつのいいとこじゃん。」
「…うん…そうなんだけどな…。」
「どうする?連れて帰る?まだ寝かせておく?」
「連れて帰る。」
松潤は一言そう言うと、寝室へと入って行った。
しばらくして、寝室からあかりと二人で出てきた。
「翔くん、ごめんね、ベットへ運んでくれたんだ?」
「あっ、うん。」
「翔さん、運んだの?」
「まぁね、重かったなぁ~」と俺は腕を回したり、首を回したりして見せた。
「もぅ~酷いっ!!」
「ハハハ、冗談。」
あかりは相変わらず膨れっ面だった。
「もう、ケンカすんなよ。」
「…あぁ。」
潤くんは、行こうか?とあかりにコートを渡し玄関へ向かった。
「翔くん、ありがとう。私これから仕事なんだ。急がなきゃ。」
あかりはコートを着ながら言った。
「間に合うの?」
「うん。休日出勤だからちょっと遅くても大丈夫なの。」
「そう、じゃあ気を付けてね。」
「またね。翔くん。」
あかりはそう言うと玄関で待っている潤くんのところへと向かった。
俺は、玄関で二人を見送ろうとあかりのあとについて行った。
玄関で靴を履くとあかりは潤くんに誘導され先に外に出た。
後から外に出ようとして、潤くんは俺を見た。
「何?」
「いや…翔さん?」
潤くんは何か言いたそうにさらに俺を真っ直ぐに見た。
「何?」
「俺は、あかりの事本気だからさ。」
「えっ?!何を言い出すかと思ったら…今更そんな事言われなくても分かってるよ。」
「そう?」
「うん。」
「翔さんは?まさか、好きじゃないよね?あかりの事。」
「はっ?!何言ってんの?あいつは妹みたいなもんだって、前にも言ったでしょ?」
俺は、急にそんな事を言われてかなりドキドキしていた。
勘が鋭い潤くんの事だ。
本当は気付かれている事ぐらい薄々分かっていたんだ。
だけど、改めて聞かれると…
やっぱり、動揺してしまう。
「早く行かないとあかりちゃん待ってるよ。」
俺は、動揺を隠すように平静を装った。なるべく、普通にしようとした。
それが返っておかしな態度になっている事が分かっても、平静を装った。
「とにかく今日は、ありがとう」
潤くんは、それだけ言うと帰って行った。
分かってはいたけど、やっぱり気付かれていた事に俺はかなり動揺していた。
続く