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「誰だったの?」と、リビングの方から声がしてニノはリビングに戻った。
「リーダーだったよ。」
ニノはソファーに座る櫻井に話し掛けて、斜め向かいに腰を下ろした。
「智くん?上がっていかなかったの?」
「なんか、プレゼントだけ渡してサッサッと帰っちゃった。翔ちゃんが来てるのを何か…勘違いしたみたい。」
「勘違い…って。アハハ。女がいるとでも思ったか?」
「何だかね…」ニノはちょっと呆れたように笑った。
「それ、智くんからのプレゼント?」
「あ、そうそう。何だろうね。」
そう言いながらニノは、大野にもらった紙袋をガサガサと開けてみた。
長細い紙袋から出てきた物を見て二人は驚いた。
「あっ!」
櫻井はニノを見て可笑しくなってニマっと笑った。
「んふふ。これ…」
ニノもまた可笑しくなって櫻井を見て二ッと笑った。
「翔ちゃんのと同じだ。」
「アハハ、全く一緒だ。」
綺麗な薄い青色の硝子瓶に入ったお酒。
「二人とも同じだなんて、すごい偶然。」ニノは驚きながらも嬉しそうにそのお酒を見つめた。
櫻井も嬉しそうなニノを見て自然と笑みがこぼれる。
そして、何かに気付いて「ニノ、見て。」とお酒の瓶を指差した。
「何?」
「ほら、ここ。」
「ん?」ニノはお酒のラベルをよく見た。
ラベルの空いている場所に何か書いてある。
≪ニノ、誕生日おめでとう。30になったニノはますます素敵に輝くでしょう。これからもずっと大好きだからね。そしていつまでもニノらしく…大野智を好きでいること!≫
「うふふ…なんだよ、これ。」
そう言いながらも嬉しそうにニッと笑うニノを見て櫻井は急にソファーから立ち上がった。
「えっ?どーした、翔ちゃん?」
「俺があげたお酒は?」
櫻井は辺りをキョロキョロした。
「えっと、キッチンに…」
櫻井はキッチンに行き、食器棚の引き出しを開けた。
「翔ちゃん、何やってるの?」
ニノは不思議そうに櫻井の行動を見ていた。
食器棚の引き出しをいくつか開けて「あった!」とペンを取り出した。
キッチンカウンターに置いてあった、自分があげたお酒を持ってコソコソと何やらやっていた。
「翔ちゃん?」
ニノは櫻井が気になり櫻井に声を掛けた。
「ん、ちょっと待って…出来た!」
櫻井はお酒の瓶を持ってリビングまで戻って来た。
「ニノ?」
「何?」
「二人で飲もうと思ったけど、今日は帰るわ。」
櫻井はそう言うと、お酒をテーブルに置いて、鞄を肩に掛けた。
「えっ?帰っちゃうの?」
「うん。じゃっ!」と手を軽く上げてサッサッと玄関へと行ってしまった。
「えっ?ちょっと、翔ちゃん?」
ニノは何がなんだか分からなくて慌てて玄関へ走った。
だが、すでに櫻井は玄関から出て帰ってしまった。
続く