ニノ誕生日
「暑いなぁ。」
大野は、額にかいた汗を手で拭いながらゆっくりと歩いていた。
梅雨時だと言うのに雨が降らない。
そのせいでものすごく暑かった。
街中から少し外れた場所にあるマンション。
「ここだ。」
大野は下からマンションを見上げた。
「あの辺かな。部屋は。」
ある部屋の窓を見つめていた。人影が動いたような気がして大野は、部屋の住人がいる事を確認する。
入り口でチャイムを鳴らすとすぐに返事が来た。
「はい。」
「開けてよ。」
「リーダー?」
「おう!」
「上がって来ていいですよ。」
大野はエレベーターに乗り目的地までのボタンを押した。
エレベーターを降りて目的の部屋を訪ねるとドアはすぐに開いた。
「どうした?」とニノが顔を覗かせた。
「あぁ、ちょっと…」
大野は部屋へ入ろうとドアを無理に開けようとしてハッとした。
「何?どした?」ニノは大野の顔を覗き込んだ。
「誰か来てるの?」
「えっ?」
大野は玄関の靴を指差した。
「あ~、うん。」
大野は誰か来てるのを気にしてか、部屋に入るのをやめてニノに長細い紙袋を渡した。
「はい、これ。」
「ん?何?」
「だから、誕生日だろ?」
「あっ、覚えててくれたんだ。」
「あぁ。忘れないよ。おめでと。」
「んふふ。ありがと。せっかく来たんだし上がってて下さいよ。」
「でもさ、人…来てんじゃん。」
「ん?」
「だから、邪魔しちゃ悪いし帰るわ。」
「えっ?いいよ。上がってよ。」
「いやいや、帰るよ。ちゃんとプレゼント見といて。」
大野はそう言うと、じゃあ、と帰ってしまった。
「何だかな、あの人は…」
ニノはそう言うと部屋へと戻った。
続く