2021年5月下旬、羽生善治九段が著した定跡書が久々に出版されました。
内容はとても高度なものながら、この記事を書いている段階でAmazonレビュー14件オール☆5と満点評価になっています。

しかし、本書(以下羽生本)に書かれている現代将棋の外郭を理解するには、そこに辿り着くまでの変化や別の分岐も把握しなければなりません。

そこで今回は、現代定跡のおすすめ本を戦型別に紹介していきたいと思います。


【矢倉】
羽生先生がテーマとしてあげている図とはコンセプトが違うのですが、矢倉本では「先手矢倉の逆襲」がおすすめです。

羽生本では先手が苦労する展開が多いのですが、それを打開する積極策が多く載せられています。
ただ、羽生本テーマ4・5で取り上げられた「脇システム」を取り扱った本は近年出ておらず、知識のアップデートのためにも新刊が待たれます。



【角換わり】
角換わり相腰掛け銀なら池永本と斎藤本が双璧。
どちらも重厚な研究本となっています。
現代角換わりのすべて

斎藤慎太郎の角換わり腰掛け銀研究


羽生本テーマ15で取り上げられた角換わり▲4五桂速攻は近々北島先生が本を出されるようですが、先に研究家の長岡先生の本に触れておいて損はないでしょう。
大夢流一手損角換わり ~受け師直伝の受け将棋


テーマ11の純正右玉は昔からある印象で、近年詳しく書いている本はみられませんでした。

テーマ12~14の早繰り銀は、薦められるのは前述した池永本の後半部分程度。専門書として大石先生が本を出されていますが、個人的にはイマイチな仕上がりに感じました。



【雁木】
この戦型で執筆された先生方には申し訳ないですが、おすすめ出来る棋書はありません。
雁木の流行も落ち着き、1年以上専門書が出されていません。
羽生本のテーマも一題のみでした。



【横歩取り】
先手目線なら藤森式
後手目線なら上村本が参考になります。

上村本は青野流だけでなく、他の横歩取り対策もおさえているので幅広いです。
藤森式青野流 絶対退かない横歩取り

横歩取り 後手番の逆襲


羽生本ではテーマ20で▲3六飛と引く従来の横歩取りもあげられており、羽生先生は青野流を有力としながらも別の選択肢の探究にも事欠かないようです。



【相掛かり】
現代相掛かりは佐々木本と本田本が二枚看板。
▲6八玉型なら飯島本も面白いです。
緩急自在! 新型相掛かりの戦い方

本田奎の相掛かり研究


【四間飛車】
四間飛車目線なら井出本がだんぜんオススメです。
対策としてならエルモについて書いた細川本、金無双急戦を書いた黒田本がよさそうです。
とっておきのエルモ

黒田尭之の新研究 よみがえる右銀急戦




【三間飛車】
羽生本では、
・トマホーク
・石田流
・相三間飛車
を扱ったテーマが一題ずつ。
石田流と相振りは現代将棋に当てはまらないと思うので省きます。

トマホークなら石川本ですかね。
その中でも数年前に出された佐藤和俊先生の本は全く古さを感じさせない現代的な駒組みで面白いです。

【中飛車】
超速対ゴキゲン中飛車なら長岡本がいいと思います。



これらの本を全て読むのは大変かと思いますが、最低限の知識がないと羽生本の内容を自分の血肉とすることは難しいです。それだけ濃厚な一冊なのです。


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