愛海は桃花の話を聞くのが楽しみだった。
恋愛初心者の桃花の奮闘振りは、聞いてるだけで笑える。
「で、毎日いちゃついてるわけだ」
「まあ、そんなとこ」
「良かったね、幸せそうで」
またしても桃花の顔が曇った。
「まあ、幸せは幸せなんだけどさ……」
「何、何」
愛海のテンションがあがった。
この顔はまた何かやらかしてくれそうだ。
嫉妬に狂う美人って素敵。
絵になる。
今度は嫉妬に狂うメスブタちゃんを描こうかしら。
「実はさ、あの日、朝起きると、ルカが卒業アルバム見てるわけ」
なるほど……。
「わたしさ、思ったのよ。ああやって、たまにアルバム見てるじゃないかって」
「その場で責めなかったんだ。もしかしたらモトカノのラムちゃん見てたかもよ」
愛海はわざと煽ってみた。
「でしょ……」
桃花は急に不安そうな顔になった。
愛海にはなんとなく分かっていた。
多分、ルカは桃花が部屋をガサ入れしたことに気がついたんだと。
それでルカは何を見られたか、調べてたのかもしれない。
愛海の予想通りだった。
ルカは桃花の雰囲気がおかしいことにすぐに気がついた。
前から携帯電話を見てることも知っていた。
しかし疾しい事はないので、ほったらかしにしておいた。
それよりルカが心配だったのは、エッチな本を見つからないかの方だった。
すると、卒業アルバムが動いてる気がした。
卒業アルバムって、何を見てるんだ……。
そしてそれが来夢の写真だとすぐに分かった。
ページの端にグロスのあとがついていたからだ。
ページをめくる時唾をつけたせいだろう。
まあ、いいか……。
これでホッとしただろう。
来夢はブスだからな。