タイトル「森ガールと盛りあガール」 132 | 可愛い君に愛を囁きたい

  報告!上陸作戦、成功しました。

 敵はもう陥落寸前です。

 桃花の頭の中はトレンチコートを着た時からスパイになりきっていた。

 ラムのコスプレをしつつ、心は女スパイになりきっていた。


 二人の距離はまた近づいた。

 でも桃花は嫉妬深い。

 自分でも知らなかった一面だ。

 好きな人ができても野放しにするタイプだと自分では思ってた。

 でも現実は違った。

 やってはいけないと思いながら、モトカノ来夢のことが気になってしょうがない。

 ルカが入浴中に来夢の痕跡を探した。

 報告!潜入捜査が思うようにすすみません。

 ラムの写真が一枚も出てきません。

 出てこないからこそ、気になってしょうがない。

 ルカは来夢のことを話そうとしない。

 ルカにとっては嫌な思い出でしかなく、消してしまいたい過去なのだ。

 来夢の痕跡などまったく残っていないのだ。

 しかしそんなことは桃花は知りもしない。

 嫉妬に狂う女スパイなのだ。

 そしてついにただ一枚の来夢の写真を発見した。

 そう、それは、ルカの高校の卒業写真だ。

 来夢なんて変わった名前は一人しかいなかった。

 写真はバリバリのヤンキーだった。

 何、ほんと、どんだけヤンキー好きなの。

 でもラムって……。

「そ、そうなんだ……」

 桃花はそっと卒業アルバムを本棚に戻した。

 桃花はご機嫌だった。

 それはラムがブスだったからだ。

 超ブサイク。

 神取忍を退化させて、猿人っぽくしたみたいだ。

 ただのゴリラじゃん。

 ホッとしちゃった。

 この前のレディースの蘭子が可愛かったから、焦っちゃったよ。

 蘭子がフラれたのに、ラムって女とは付き合ってたっていうから、どんだけ可愛いかと思ったら、全然イケてないじゃないの。

 ルカが風呂から出てくると、桃花がベットの上で正座をして待っていた。

 ルカは三つ指をついて、「お願いします」と言った。

 それは二人にとって、情熱的な一夜の始まりを意味していた。


 報告!今日で潜入作戦は終了です。

 今度は私が潜入される番です。