報告!上陸作戦、成功しました。
敵はもう陥落寸前です。
桃花の頭の中はトレンチコートを着た時からスパイになりきっていた。
ラムのコスプレをしつつ、心は女スパイになりきっていた。
二人の距離はまた近づいた。
でも桃花は嫉妬深い。
自分でも知らなかった一面だ。
好きな人ができても野放しにするタイプだと自分では思ってた。
でも現実は違った。
やってはいけないと思いながら、モトカノ来夢のことが気になってしょうがない。
ルカが入浴中に来夢の痕跡を探した。
報告!潜入捜査が思うようにすすみません。
ラムの写真が一枚も出てきません。
出てこないからこそ、気になってしょうがない。
ルカは来夢のことを話そうとしない。
ルカにとっては嫌な思い出でしかなく、消してしまいたい過去なのだ。
来夢の痕跡などまったく残っていないのだ。
しかしそんなことは桃花は知りもしない。
嫉妬に狂う女スパイなのだ。
そしてついにただ一枚の来夢の写真を発見した。
そう、それは、ルカの高校の卒業写真だ。
来夢なんて変わった名前は一人しかいなかった。
写真はバリバリのヤンキーだった。
何、ほんと、どんだけヤンキー好きなの。
でもラムって……。
「そ、そうなんだ……」
桃花はそっと卒業アルバムを本棚に戻した。
桃花はご機嫌だった。
それはラムがブスだったからだ。
超ブサイク。
神取忍を退化させて、猿人っぽくしたみたいだ。
ただのゴリラじゃん。
ホッとしちゃった。
この前のレディースの蘭子が可愛かったから、焦っちゃったよ。
蘭子がフラれたのに、ラムって女とは付き合ってたっていうから、どんだけ可愛いかと思ったら、全然イケてないじゃないの。
ルカが風呂から出てくると、桃花がベットの上で正座をして待っていた。
ルカは三つ指をついて、「お願いします」と言った。
それは二人にとって、情熱的な一夜の始まりを意味していた。
報告!今日で潜入作戦は終了です。
今度は私が潜入される番です。