タイトル「森ガールと盛りあガール」 134 | 可愛い君に愛を囁きたい

 愛海があおったせいか、せっかくのラブラブな雰囲気が少し崩れ始めたようだ。

 最近ラブラブな話ばかりで少し飽きていた。

 MXテレビでうる星やつらを再放送してるから一緒に見てるだとか、DVDで映画を見たとか、昔の漫画で盛り上ってるみたいな話ばかり。

 私はドロドロした昼ドラが好きなのよ。

 「牡丹と薔薇」みたいにドロドロしたのがね。

「ブス好きっているからね……」

 愛海が焚きつけると、桃花は黙り込んだ。

「ちょっと前に堤下ってデブが好きだって、モデルがいたじゃない」

 堤下ってあの脇汗が臭そうなブタ顔のコメディアンね。

「それにフジワラの顔のでかいほうよ。あんなのが好きだっていうユッキーナの美的センスってどうなのって思わない?」

 確かにブス好きっている。

 心配だ、心配だ。心配だー!

「たまにカチンとくること言うのよね」

「なに、なに?」

 愛海は身を乗り出して、聞き耳をたてた。

 ルカは蘭子が吐き捨てたセリフをたまに口にしては、首をひねるらしい。

 それは蘭子が「おめえの女の趣味はほんと、最高だな」と言ったことだ。

「いいじゃない。誉めてられてるんだよ、ルカの美的センスを」

 桃花としては悪い気はしない。

 自分のことを誉められてるからだ。

 でもルカはそのことが気に入らないようだ。

「最高の女ねえ……」

 ルカは桃花を見つめては、そうため息を洩らすようになった。

 実に失礼な話だ。

「最高でいいじゃん」

 桃花は愛海に同調を求める。

 うんうんと愛海は首を縦に振る。

「なんか違うんだよねえ……って余計じゃない」

 なるほどルカはヤンキー嫌いだからよね。

 喧嘩が強かったりするのは、イメージに合わないんだ、きっと。

「でも好きなんでしょって、私が聞いたのよ、ルカに」

 愛海は続きがどうなるか楽しみだった。

 物語のページを開いてるようなワクワク感。

 この二人の恋愛は単純に面白い。

「好きは好き。でもたまに考えるんだ」

 何を考えるって言うのよ。

「ヤンキーより、強いってどうなの?」

 愛海は笑いを堪えるのに必死だった。

「……だって、どう思う」

「なるほど……、それはヤンキー嫌いには気になるかも」

 桃花って本当男だったら、最高にかっこいいのに。

「でさ、言うにこと欠いて、桃花って、花に例えると、サボテンだなって言うんだよ」

「サボテンかあ、棘だらけってことかな」

「に決まってるじゃない。近寄ると、棘に刺さって痛いおもいするって意味じゃないの」

「言えてるな、桃花、怖いし」

「やっぱ、怖いかな」

「私がヤンキーから守ってあげるって言ってみたら」

「うーん……、そんなこと言われて嬉しいかな」

「さあ」

 ルカの言葉の意味は桃花には伝わっていなかった。

 ルカはいい意味でサボテンの花と言ったつもりだった。

 そして愛海も気がついていた。

ルカがサボテンの花を月下美人という意味で使ったことを。

でもそれを言っちゃうと、仲良くなっちゃうし……。

まあ、言わぬが花ね。

私のギャグさえてるー。