タイトル「森ガールと盛りあガール」 135 | 可愛い君に愛を囁きたい

桃花はステージ上から、蘭子を発見した。

 ファンって言うのは本当のようだ。

 あの時のレディースのメンバーが勢ぞろいしてる。

 みんな、桃花の曲を口づさんでる。

 ただ桃花の歌は英語の歌詞ばかり。

 よく見てると適当英語で歌ってる。

 まあ、客のほとんどが適当英語で、サビの部分ぐらいしかちゃんと歌えてない。

 

 蘭子がライブハウスを出ると、桃花が待っていた。

「桃花さん」

 蘭子は驚いて立ち尽くした。

 蘭子はボコボコにされると、身をひいた。

「ちょっと聞きたいことがあるんだけどさ」

 そう言って、桃花は近所のファミレスにみんなを誘った。

 それとなく、来夢のことを聞きだすためだ。

 どれほど親密だったのか、聞いてみたかった。

 ただ直に聞くのは憚られたので、遠まわしに聞いてみた。

「来夢ってあんなにブサイクなのに、どうしてルカと付き合ってたんだと思う」

 みんな、変な顔をした。

「ルカって、ブサイクな子が好きだとか……」

 みんな、突然、笑い出した。

「心配してるんですか、まさか」

 しまった、バレてるじゃないの。

「いやー、あんまりブスだからさ、ちょっとねえ……」

「まさかとは思うんですけど、桃花さんのほうがルカに惚れてるんですか」

 桃花は真っ赤になった。

「わかりやすい」

「ルカってそんなにいいですか?芸能人のほうがかっこいい人いっぱいいるでしょ」

「それにルカって、なんか軟弱だし、いじめやすいって言うか、ちょっかい出したくなるって言うか」

 そこまで言って、蘭子は桃花の機嫌を損ねたんじゃないかと、黙り込んだ。

「大丈夫ですよ、あれは脅されて付き合ってたようなもんですから」

「脅されて?」

 意味が分からなかった。

 でも蘭子の話を聞いて納得した。

 そして、桃花はホッとした。

 初めてルカの過去の相手への嫉妬心から解放された気がした。