タイトル「森ガールと盛りあガール」 42 | 可愛い君に愛を囁きたい

 そしてルカは桃花のマンションまで送ることになった。

 マンションに送ってもらったことはある。

 でもルカはいつもすぐ玄関の前で帰った。

 ただ今日は時間が時間なのだ。

 すでに終電がなくなっている。

 サークルのメンバーが気を使ったのかどうかは定かではないが、タクシー以外の交通手段はなくなっていた。

そして初めてルカが桃花のマンションを訪れた。

桃花は玄関の鍵を開けながら、

「私の部屋に男の人が来るの初めてなんだ」と言った。

「へえ……」

ルカは変に嬉しそうな顔をした。

「ちょっと待っててね」

そう言って、桃花は一人でマンションの中に消えた。

ガチャ、ガチャと音がする。

しばらくすると、マンションの扉が開いて、中から桃花が顔だけ出した。

 そしてルカを手招きした。

 ルカが中に入ると、

「おかえり、あなた」と、満面の笑みを浮かべてそう言った。

桃花はピンクのエプロンをしていた。

それは桃花の誕生日にルカがプレゼントしたものだった。

「ただいま」

 そう言って、ルカは靴を脱ぎ、中へと入った。

「もうちょっと待ってね、あと少しでできるから」

 そう言って、キッチンの鍋をかき混ぜた。

「うーん、最高」

 ルカは一人興奮気味に喜んでいた。

 これはルカのリクエストだった。

「新妻ごっこをしたいな」と、プレゼントを渡されたのだ。

自称森ガールの達人のルカが言うのだ。

森ガールはきっとこんなことをしているのだろう。

そう思いながら、桃花はルカのリクエストに答えた。

ただ、これはルカの個人的趣味だったようだ。