そんな時に出会ったのが、森ガール。
雑誌で森ガールの姿を見たとき、衝撃が走った。
女性恐怖症を克服してくれるのは、きっとこんな子だ。
雑誌のモデルたちを見ながら、勝手にそう思った。
森ガールなら好きになれそうな気がする。
ルカはずっと思っていることがある。
ファッションを見れば、大方の性格が分かる。
どんなことが好きで、どんなものに興味があるかみたいのは服装に表れる。
森ガールはルカのイメージにピッタリだった。
だた、「森ガール」という言葉は独り歩きを始め、流行ったおかげで、本物以上に、偽者が世にあふれ出してる気がする。
昔なら、ヤンキーファンションに身を包んだであろう女どもまでが、森ガールもどきになってる気がする。
僕は騙されないぞ。
「ヤンキーは森ガールファッション禁止令が施行されればいいのに」
本物の森ガールを見つけるんだ。
森ガールの中の森ガールを。
本物を見分ける鑑定眼を養わなくては……。
そのためには取り敢えず街に出て森ガールを観察しなくては……。
バードウォッチィングのように森ガールを……。
けして怪しいわけじゃない。
純粋な気持ちで、その生態を知ることだ。
そして本物の森ガール。僕の理想の恋人を探さなくては。
そして僕は今日も森の中に迷い込んだ。
森ガールが出没しそうなカフェ巡りを繰り返している。
その手の雑誌が出回っている。
その雑誌に載ってる店を虱潰しにする日々が続いていた。
僕はヤンキーが苦手だ。
それは過去にヤンキーと付き合ったからだけじゃない。
もう一つ僕は告白しなければいけない。
かつてヤンキーの女子にいじめにあったからだ。
それが好きな子をいじめるタイプのいじめだと分かっていても、やっぱりいじめにあった記憶は消せない。
男子にもいじめられなかったのに、僕は小、中と女子のいじめにあった。
なんでこの子は僕に意地悪なんだろう。
ずっとそう思ってた。
それが愛情の裏返しだったんだと、気がついたのは高校の時だ。
僕が来夢と別れてすぐだった。
やつが告ってきたのだ。
いじめの主犯格の南条蘭子。
「前からルカ君のこと好きだったんだ」って。
でもいじめといて好きって言われたって、好きになれるわけがない。
僕は蘭子を受け入れることはできなかった。
来夢と付き合ってたせいで、蘭子のことをそれほど怖いと感じなくなっていた。
考えてみれば、来夢と付き合ってた間、蘭子たちのいじめは治まっていた。
それは来夢が睨みを効かしてたからと言ってもいいだろう。
みんな来夢が怖かったのだ。
その彼氏と言うだけで、いじめられなくなっていた。
だから蘭子に告られた時もすんなりと「ノー」と言えた。
今思うと蘭子は結構可愛かったとも思うが、女は顔だけじゃない。
ヤンキーは嫌いだ。
どんな美人だって、絶対に嫌だ。
過去の恋愛はトラウマだ。
ヤンキーを見るだけで、気分が悪くなる。
これはヤンキー性PTSDだ。
なのに、どうして自分はヤンキーに好かれるんだろう。
そう悩んだ。