タイトル「森ガールと盛りあガール」 15 | 可愛い君に愛を囁きたい

そして結局蘭子を避けるようになった。

あんな相手でも、ふったことへの罪悪感みたいのがあった。

ただ避けることで蘭子たちのいじめが再発した。

僕の側に来夢がいない。

 来夢はもう別の男と付き合っていた。

 それが見るからにガテン系でいかつかったので、驚いた。

 なんでも4つも年上で鳶職らしい。

 放課後にたまにヤン車で来夢を迎えに来ていて、すっかりその存在は有名になっていた。

 線の細いルカとは真逆だ。

 来夢の男の趣味に傾向が感じられない。

 ブスだからフットワークが軽いのか、誰でもいいような感じさえ受ける。

 そんなことより現状がヤバイ雰囲気になっている。

 来夢と別れたことでルカのボディガードがいなくなってしまった。

 まさに学校という戦場で丸腰だ。

 陰湿ないじめがジワジワと始まった。

 いたずらととるか、いじめととるか、それは問題だが、相手はいじめる気でやってる。

 画鋲が椅子に置かれてたり、そんな小さなことから始まった。

なんで好きな相手を傷つけることができるんだろう。

そんな愛情、受け入れられない。

でも僕には立ち向かう術を持っていない。

やられたら、やられっぱなしだ。

少しずつ周りもいじめにあってると気がつき始めていた。

でもそれを誰も咎めもせず、止めもしなかった。

そんな蘭子のいじめから僕を守ってくれたのは、結局のところ、モトカノの来夢だった。

ある日蘭子が一週間学校に現れなかった。

ボコボコにされて、入院したらしい。

入院したというのはどうもガセネタのようだが、家から出られないほど顔が腫れたらしい。

来夢にヤキをいれられてから、蘭子たちの集団いじめはなくなった。

「女にいじめられるなんて、情けない男だ。せっかくのイケメンが台無しだ」

 来夢はルカを見つけるや、肩を抱き、

「そんなに弱虫じゃ、女一人、守れねえじゃねえか」と言って、おなかに一発パンチを入れられた。

 体が腹から折れた。

床に転がって悶絶した。

 これだからヤンキーは嫌いだ。

 かっこいいつもりか。

「じゃあな」と来夢は去っていった。

 ヤンキー漫画じゃあるまいし、ぜんぜんかっこよくないよ。

 痛いじゃないか、バカ女。

いじめは確かになくなった。

 でも絶対感謝しない。

 あの女は僕の大切なファーストキスを奪った女だ。

 許さない。

 許せるもんか、映画みたいなファーストキスをするって決めてたんだから。

 鬼に奪われてしまった。

 生涯の傷として残るに決まってる。