タイトル「森ガールと盛りあガール」 56 | 可愛い君に愛を囁きたい

次の日曜日、ルカと代々木公園で過ごした。

そもそも最近流行の明治神宮の清正井に行こうと言い出したから、原宿まで来たのだが、その行列の長さに結局、諦めて代々木公園に来たのだ。

裏原に行こうと言うが、人が多いから嫌だと、ルカが嫌がった。

結局何をするでもなく、寝転がったりして、ダラダラと過ごした。

ルカは桃花の膝を枕にしてアイパッドで大樹の曲を何度も聴いていた。

当然、片方のイヤホンは桃花の耳におさまっている。

大樹の歌声。

「いい曲だ」

ルカは誉めちぎる。

桃花にとってはごくごく平凡な曲にしか聴こえない。

それでも何度も聞かされるうち、耳に残って仕方なくなっていた。

歌詞もそれほどいいとは思わない。

平凡なラブソングだ。

だけどそのラブソングがあの森ガールのために歌われてるのかと思うと、イラッとする。

桃花が映画を見ようよと誘うと、面倒臭いと言う。

なんだろう、すっかり油断しているのだろうか。

もうそんな関係になってしまったんだろうか。

「じゃあさ、人が少なそうな映画にしようよ、短観ロードショー」

 携帯で調べるとシネマアンジェリカにしようと言い出した。

 NHKを過ぎ、公園通りを歩いていると、いきなり桃花は腕をつかまれた。

「やっぱ、桃花だ」

そう言って、大樹が目の前に立っていた。

ルカは本物の大樹を見て、言葉を失くしてる。

「なんだ、そのかっこう」

ああ、見つかった。

もう地元に戻れない。