タイトル「森ガールと盛りあガール」 61 | 可愛い君に愛を囁きたい

「いいじゃん、モテたくてミュージシャン目指したんだし」

「で、モテてるわけ」

「まだこれからだな。でもファンの中に結構可愛い子いるし」

 なるほどね、そういうことだったんだ。

「でもさ、ファンには手を出すなって、うるさいんだよね」

 だから、手っ取り早く、私なんだ。

「じゃあ、私にも本気じゃないんだ」

「いや、それは分からないな、結構、マジかもしれないし」

 なんか嘘くさい。

「桃花に可愛いって言ったのは本気だからな」

 なんかすんなり喜べない。

「彼いるんだよ、一応」

 桃花は取り合えず釘をさした。

「一応か……」

大樹はニヤリとした。

「そんなにマジじゃなさそうだし、奪ってやろうかな」

桃花はドキッとした。

大樹の吐き出すタバコの煙が煙たい。

桃花は咳き込んだ。

「あ、ごめん」

大樹はタバコをもみ消した。

「そういや、タバコやめたんだ?」

当たり前だ。

森ガールにタバコは似合わない。

「チェーンだったくせに、よくやめれたな」

これもすべて森ガールになるためよ。

「すべてあの男のためなんだ」

「そういうわけじゃないけど……」

何言ってるんだろう。

はっきりルカのためと宣言すればいいのに。

「お前の彼さ、おとなしそうだね。昔のお前のこと知ってるの?」

「知らないよ」

「だろうね」

「知ったら、付き合わないかもね」

大樹は勝ち誇ったようにニヤリとした。