森ガールと別れた!
あんなにラブラブだったのに。
ヘビメタ捨てるほど夢中だった相手なのに、そんなにやすやす切れるんだ。
うん?プロになるから別れたんだ、てことは、恋愛禁止みたいなルールを決めてるんじゃないの。
「じゃあ、ダメだよね、私と付き合うのも」
うっ、と大樹は息を飲み込んだ。
そしてニヤリと笑みを浮かべた。
「あっ、そっか。でもいいよ。別に、恋愛したらいけないってわけじゃないし」
なんだ、なんだ、矛盾だらけ。
何、何、これって逆に森ガールと別れるために、プロになることを利用したって感じじゃないの。
「じゃあ、なんで別れたの。モトカノと」
森ガールがフラれたわけ……。
「うーん……」とタバコをふかす大樹。
「あいつ、重いんだよね」
やっぱ、フラれてやがる、あの森ガール。
ハハハ、ざまあみろって。
何何、じゃあ、これってマジの告白じゃないの。
森ガールと別れたから、私と付き合いたいみたいな感じ。
願ったり、叶ったりってこと。
「本当のこと言うと、お前にフラれそうだしな」
ふと、大樹は洩らした。
本当のこと?
本当のことって何?
「やましいことあんだ」
しばらく何か考え込んでいたが、決心したように、
「男子がなんでギターなんか練習すると思う?分かるだろ?」
ああ、このせりふ、思い出した。
バンド仲間と、みんなでよく話してたっけ。
「モテたくってだっけ?」
「そう」
「呆れた……」