タイトル「森ガールと盛りあガール」 59 | 可愛い君に愛を囁きたい

「ああ、フルんじゃなかったな」

大樹は何度もその言葉を連発する。

ヤバイ、ヤバ過ぎでしょ。

ああ、私は何してるんだろう。

大樹からメールで誘われた。

まあ、地元の友達として会ってるんだから。

 普通っちゃ、普通なんだけどさ。

 普通じゃないよね、絶対。

でもごめん、ルカ。

私、気持ち抑えられない。

テレビ局の仕事の前に会ってくれって、私、ヤバイかも。

しかもよりにもよって、バリバリデートコースだし。

お台場めぐり、ビーナスフォートでランチ。

レインボーブリッジ、見てるし。 

「桃花がそんなに可愛いって気がついてたら、お前と付き合ったのに」

 大樹が見つめてる。

「あの頃のお前って、いかつかったし、近寄りがたいって言うか、怖かったし」

 なんで、目そらしてるんだろ。

 ああ、タバコ吸いてえー。

 間が持たないじゃないの。

「でも今のお前は本当、可愛いし、タイプだわ」

「ねえ、それって、告ってるの」

「そう聞こえた?」

「うん」

「じゃあ、そう思ってもらっていいよ」

ヤバいんじゃないの。

「二股かけようとしてる、もしかして?」

まさかミュージシャンだから、許されるなんて思ってる?

「なわけじゃいって」

「彼女は?」

 桃花は取り合えず、釘をさしてみた。

「ああ、あいつかあ……、実はさ、プロになるから別れたんだ」

さらりと、大樹は答えた。

別れた?

あまりにもあっさり大樹は言い放った。