大樹は私を好きなんじゃない。
私の見た目が好きなんだ。
でも、ルカだって、同じかもしれない。
私のことを本当に好きなんじゃないかもしれない。
ヘビメタ姿の私を知ったら……。
知ったとしても……。
私のことを好きでいてくれるだろうか?
自信がもてない。
それは私が本当の私を見せてないからだ。
正直になれないのは私だ。
でも嘘をついてるわけじゃない。
私らしさを抑えているだけだ。
だからって今さら本当の自分をさらけ出すなんてできない。
失うもののほうがはるかに大きいからだ。
ルカのことが好きだから……。
そう、きっとルカが好きなのだ。
ルカのための森ガールじゃない。
なんで心が揺らぐんだろう。
大樹が気になる……。
ルカを失っていいの?
大樹が私に本気なら、無いと言い切れない。
じゃあ、ルカは保険なの。
ルカに対する気持ちは本気じゃないの。
桃花は自分の愛情の居場所を把握できずにいた。
大樹ならヘビメタの私を受け入れてくれるだろう。
思い切りヘビメタできるのも大樹だ。
でも森ガールやめたら、大樹だって、やっぱり私をポイしちゃうかもしれない。
結局出た結論は、私は卑怯な女だということだ。
やっぱり森ガールじゃない私をルカに知られたいとは思わない。
ルカに会うとなおさらそう感じた。
ルカはいつもと変わらない。
普段通りに桃花に接してくれる。