タイトル「森ガールと盛りあガール」 96 | 可愛い君に愛を囁きたい

「相変わらず、ぶっさいくな嫁さんね」

 柳下が突然口をはさんだ。

「わっ!」

 柳下の登場に桃花はびっくりした。

「なに、驚いてるのよ。さっきから横にいたでしょ」

 嘘ばっかり。いつからいたって言うのよ。

「ずっといたでしょ、早瀬さんが来る前からいたわよ」

 桃花は背筋に冷たいものが走った。

「本当に幽霊みたいなんだから……」

「本物だったりしてね」

 冗談に聴こえないんですけど……。

「ひどいな、ブサイクな嫁って」

「だって、ブサイクじゃないの」

「ちょっとぽっちゃりしてるだけだよ」

「かなりね」

 うーん……、どう欲目で見ても、おばちゃんだ。

「早瀬さんと、どっちが美人に見える?」

 柳下先輩も無茶な質問をする。

 おばちゃんと私を比べるなんて。

「もちろん、嫁さんでしょ」

「はあああー!はあああああー!はあああああああー!」

 ぶち切れそうだ。

「こんなの比較する対象にもならないよ」

「目ん玉くりぬいたろか!おっさん」

 どこがこのおばさんに負けてるって言うのよ。

「あらら、地が出ちゃってるよ、早瀬さん」

 しまった。森ガールらしくないことをしてしまった。

 でも、まさか、柳下先輩は本当の私を見透かしてるんだろうか。

 不気味だし、江原啓之みたいに見えてるのかな、もしかして?