タイトル「森ガールと盛りあガール」 97 | 可愛い君に愛を囁きたい

「早瀬さん、元ヤンでしょ」

 山ちゃんが聞いた。

「ヤンキーとヘビメタは違うんだからね!」

「ヘビメタ好きなんだ」

 山ちゃんは納得したように、ニヤリとした。

「えっ、早瀬さんって森ガールでしょ」

 柳下は衝撃をうけたと言わんばかりに驚いてる。

「もちろん、森ガールですよ」

 柳下先輩は理解不能だ。

 しかし多分、山ちゃんには見透かされた気がする。

 それからしばらくすると、八橋がやってきた。

 すっかり日焼けしてさらに真っ黒になっていた。

「ナンパ焼けか」

「農業焼けかな」

「なんだ、それ?」

 山ちゃんはそう冷やかして、子供に会いに部室からいなくなった。

 桃花は山ちゃんのあとを追いかけた。

「ねえ、山ちゃん、車乗せてよ」

 桃花は山ちゃんの車に一度乗りたいという衝動に勝てなかった。

 痛車でもいいじゃない。

 一度だけトヨタ2000GTに乗りたいんだから。

 痛車に乗ったことは隠せばいいし、トヨタ2000GTに乗ったことを自慢すればいいじゃない。

 そして桃花はアクセルを踏み込んだ。

「ちょっとだけ学校の周り走ってきていい」

「今から子供に会いに行かなきゃ行けないから、そこまで送ってよ」

 こうして助手席に山ちゃんを乗せて、車を走らせた。