ああ、幻滅だ。
私はこいつの何を見てたんだ。
顔か。
そうだ、見た目だ。
ああ、私は馬鹿だ。
こんな顔のいいだけのスケベ男に心を奪われるなんて。
ああ、やっと目が覚めた。
「あんた、なんか言ってやんなよ、この男にさ」
葉月に向かって、桃花が声を上げる。
こんな男の子供産むのやめなよ。
不幸になるだけだよ。
そう言いたかった。
「怖いよ」と葉月は座り込んでしまった。
「やっぱり、ヤンキーのままじゃない」
葉月の言葉に、桃花はカチンと来た。
「ヘビメタとヤンキーは違うんだからね。ヘビメタをヤンキーと一緒にしないでくれる。」
桃花にビビッてる葉月を無視して、大樹のほうに向き直った。
「どうする気よ、大樹」
「どうするって……」
「そんな無責任でやることだけやって、すまされると思ってるわけ」
「帰れよ、俺たちの問題に口はさむなよ」
大樹は面倒臭そうに、桃花を無視して、葉月の手をとった。
「お前、いくら妬いてるからって、俺を追い込むなよな」
妬いてる?妬いてる!はあ!
「私のどこが妬いてるのよ」
「うるさいよ、もう帰れよ、邪魔なんだよ、お前」