桃花は一人、マンションに戻った。
なんか悔しかった。
どうしようもなく、悔しくてしょうがない。
私が妬いてるって。
妬いてるから、大樹にキレたって。
そんなはずないじゃない。
大樹の無責任さに頭にきたんでしょ。
そう思いながら、どこかで図星だという気がして悔しかった。
あんな男、顔以外何もないじゃない。
そんな見た目だけに振り回される自分が悔しかった。
別れたばかりの相手に、今一番、会いたかった。
よりを戻したいとかそんなんじゃない。
傷付いてる気持ちを癒してくれるのは、今ルカしかいないからだ。
でもルカには電話できないよ。
「ごめんね、ルカ」
その日、愛海に連絡をとった。
「何、別れたんだ、今津先輩と」
愛海は意外そうな顔をしてる。
「うん、私が悪いの」
外見しか見てなかったのは、私のほうだ。
ルカの内面だけ見てたなら、大樹なんかになびかなかったのに。